張り替えや塗り直しで新品のようになるケースも

以前私の事務所が設計し、家具選びもアドバイスしたクライアントのTさんから、「子どもが大きくなったので、子ども用の椅子をおとなと同じものに買い替えたい」との相談がありました。

定番の椅子なのですぐ手配できることを伝え、これまで夫婦が使っていた椅子も、ついでに座面の布地を張り替えてはどうかとすすめました。

Tさんは、早速、座面の張り替えとともに椅子の木製部分の塗り直しも依頼され、後日、「新しい椅子と古い椅子の区別がつかないくらい、きれいになりました」という連絡がきました。

また、竣工したばかりのクライアントGさんは、いままで住んでいたマンションで15年間使っていたソファを、新しい家でも使いつづけています。

そのソファはひとり用のものをつなげて、ふたり掛け、三人掛けにできるタイプのものです。これまではふたり掛けにして使っていたのですが、リビングが広くなったのでひとつ買い足し、三人掛けにしました。

生地はベージュに張り替え、アクセントになるように濃いオレンジと黄色のオットマンをふたつ買い足しました。新築の家に色やサイズもマッチしています。

古い木製のテーブルを塗り替える人
写真=iStock.com/nito100
※写真はイメージです

妥協せずに注文家具という選択

私は、6カ月のあいだ、ダイニング・テーブルを探しつづけたことがあります。

当時住んでいたのはマンションでした。食器棚とダイニング・テーブルを置くといっぱいになってしまうような狭いスペースで娘は宿題をし、息子はお絵描きをしていたものです。

食事はもちろん、それ以外のときにも家族がそこで過ごす時間は長く、コミュニケーションの場となっていました。私が、自宅を設計するときにダイニング・テーブルを中心に考えたのも、そこをみんなが集まる場所にしたかったからです。

ですが、マンション住まいのダイニングでひとつ困っていたのは、テーブルの上に鉛筆削りや、クレヨン、本や雑誌などが置きっぱなしになること。しかし、それらを収納できるキャビネットを買ったりすれば、ますます部屋が狭くなるというジレンマでした。

「収納機能も兼ね備えて散らからない、しかも見た目がいいテーブルはないものか」と考え、ずっと探していました。

しかし、どれも帯に短し、たすきに長し。半年探したところで、とうとう意を決して自分で図面を引き、つくってしまうことにしました。