死は誰にもやってくる。後悔のない人生を送るためにはどうしたらいいのか。FPの黒田尚子さんは自身が40歳のときに乳がん告知をされた経験を踏まえ、お金や終活の相談を受けている。その仕事の根底にあるのは「終活をすることが、この先の人生をより充実したものにする近道」という哲学だ――。

※本稿は、黒田尚子『終活1年目の教科書 後悔のない人生を送るための新しい終活法』(アスコム)の一部を再編集したものです。

ベッドルームで遊ぶ母と娘
写真=iStock.com/Yagi-Studio
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「生存率は50%」乳がん告知の40歳女性がすぐに買いに走ったモノ

「終活を始めてみたいけれど、よくわからない」そう感じている人は、きっと多いのではないでしょうか。私もそのひとりでした。

以前、私は乳がん告知を受けました。40歳という若さで、です。当初、担当医から生存率50%と宣告を受けて驚き、それなら残される家族のために終活をせねばと、真っ先にエンディングノートを買いに本屋さんに走りました。

ぴかぴかのエンディングノートを前に、ぼんやりと考えていたのが冒頭の気持ちです。

まだ40年しか生きていないけど、いい人生だったのかしら?

そもそも、私にとっての「いい人生」って何?

どうせなら、死ぬ前に「いい人生だった」って、思いたい。そして、死んだ後に周りからもそう思われたい!

あれこれ考えてみると、自分にとっての「いい人生」を全うできるかどうか、これを全部叶えることができるのが終活じゃないかなって思ったんです。

乳がん告知を受けて数年たった頃、まだ小学生の娘に、

「お母さんは今、幸せ?」

と、不意に尋ねられたことがあります。

「うん。お母さんは、とっても幸せ」

私は、すぐに答えました。

そして、即答できた自分に驚いたのです。

娘は、重ねて聞いてきました。

「どうして、お母さんは幸せだと思うの?」

また私は、答えました。

「だってね。こんなかわいい子どもがいるし、ぶっきらぼうだけど、誠実で優しいダンナさんもいるし。仕事は大変で忙しくても、自分のやりたいことができるもの。それに、家族みんなが、健康で元気でいられれば、それで十分幸せ」

そうなんです。

がんを経験して、自分の死を身近に感じた時、普通の当たり前の生活がどんなに幸福だったのかを思い知らされました。幸せは、なるものではなく気づくもの。今や、私の幸福度バロメーターの感度は、かなり敏感です。

あなたが、「幸せを感じられない」「よき人生とは思えない」と言うのなら、もしかして、幸福度バロメーターの設定が、ちょっと高くなっているのかも。そんなあなたに、人生に幸せを呼びこむヒントをご紹介しましょう。