各地のトップ都市に人が集結している

これは地方におけるコンパクト化現象と呼ばれるものである。地方四市はいずれも北海道、東北、中国、九州の中の最大の都市であるが、各地方の人々が自分たちの地方の中心都市に集結する傾向が近年とみに増していることが背景にある。

以前の地方都市では大企業の工場などの産業を呼び込み、そこの工場で働く人々を吸い寄せてきたが、最近は産業構造が変わり、サービス業などの3次産業が中心となってきたことから、各地方に住む人たちは若者を中心に東京や大阪に出ることを避け、地方四市のサービス業に従事するためにこれらの都市に集結する傾向にあるのだ。

地方四市はこうした働き方を志向する人々にとっては十分な社会インフラが整っており、競争が激しく、生活物価が高い東京や大阪にわざわざ出向かずとも十分に満足できる生活が送れることも人気の理由なのである。

2023年は北海道の急上昇が話題に

特に北海道や福岡でその傾向が強い。令和5年の地価公示で話題となったのが、全国住宅地地価上昇率のトップ100地点を北海道の各地点が独占したことだ。

令和5年地価公示 住宅地変動率トップ10
(国土交通省「令和5年地価公示」より編集部作成)

プロ野球日本ハムファイターズの本境地エスコンフィールドがオープンした北広島市をはじめ、空港のある千歳市、江別市、恵庭市などで地価が対前年比で20%から30%の高い伸びを示し、世間を驚かせた。これらの街は札幌への通勤圏にあり、札幌市内に比べて地価が安いことから人気が急上昇した街である。

今年のトップ100をみると、前年独占した北海道は相変わらず25%から30%の高い伸びを示した地点は多かったものの、ランクインしたのは52地点に留まり、代わって福岡県内で20地点もが増加率で15%から19%の高い伸びを示した。九州新幹線開通以降、福岡は九州じゅうの人々を吸い上げているといえる。

令和6年地価公示 住宅地変動率トップ10

(国土交通省「令和6年地価公示」より編集部作成)