千葉県の20地点に対し、埼玉県は0地点

そこで埼玉対千葉の話に戻そう。今年の公示地価で埼玉県と千葉県で明確な「差」が生じてしまったことが話題となったのだ。今回トップ100になんと千葉県から20もの地点がランクインしたのに対して、埼玉県はランクインした地点がひとつもなかったのだ。

千葉県でランクインしたのは流山市と市川市が8ポイントずつ。県内の主要都市の住宅地平均上昇率でみると市川市の10.6%を筆頭に流山市10.1%、柏市7.9%、我孫子市7.5%など軒並み高い伸び率となった。

共働き家庭をターゲットにした流山市

特に流山市や市川市は、いずれも子育て政策に力を入れていることで有名な街だ。流山市は市役所にマーケティング課を設置して、課長には外部から人材を招聘。流山市民になっていただくターゲットをDEWKS(ダブル・エンプロイド・ウィズ・キッズ)、つまり「夫婦共働き子供あり」に設定し、保育施設の充実、共働き夫婦の通勤時に子供を保育園に送り迎えする送迎保育ステーションの設置などターゲットを絞り込んだ施策でDEWKSの心をつかむことに成功している。

「母(父)になるなら、流山市」のキャッチフレーズは今ではあまりに有名になっているが、このコピーを自治体という組織が2010年に作成していたことは、驚き以外の何物でもない。

一方の市川市では第2子以降の保育料を所得制限なしに無償としている。これは千葉県内の自治体では初の試みとして注目されている。また市立の小中学校の給食についても、これも所得制限なく無償化している。

さらに18歳までの子供の医療費助成を打ち出し、自己負担金に月額で上限を設ける、同一医療機関での同一月での受診については入院11日、通院6回以降は自己負担金が無料となるなど、子育て家族に徹底的に寄り添った政策を展開している。こうした地道な取り組みも評価され、近年人気の街になっているのである。