「今からこの大福を全部売ってきて」
大阪の私の家の近くに、「商売が学べる」ということで有名な会社がありました。
その会社と契約をすると、新人は、「明日の何時に○○駅に来なさい」と指示をされます。
指定された駅に着くと、会社は新人に大きな箱を1つ渡すのです。新人がその箱を開けると、中にはギッシリと“大福”が入っています。
「今から、それを全部売ってきなさい」
「どうやって?」
「それは自分で考えてね」
何も教えない。当人は頭が破裂しそうになるまで考え、現場で汗をかく。そのことでしか人は体得することができない。そのことを知っているその会社は、「上司が部下に仕事を教える」という一般的な会社のルールを、完全に無視していたわけです。
盗人の父が忍び込んだ屋敷に我が子を閉じ込めた理由
中国の盗人の話をご存知でしょうか?
その昔、中国で、有名な盗人がいたそうです。盗人の子が大きくなり、「親父の後を継ぎたい」と言い始めました。
そこで盗人は、「ついて来い」と、一緒にお屋敷に忍び込みます。
一緒に忍び込んで、盗人のノウハウを教えてもらえるかと思いきや、父親はその屋敷にあった箱に息子を閉じ込めて、鍵をかけて逃げていってしまうのです。しかもわざと音を立てて、家中の人が大騒ぎして集まってくるように仕向けます。
「このままでは捕まってしまう!」
息子は必死で箱をこじ開け、散々な目に遭いながら、家に帰って来ます。
息子は「親父、ひどいじゃないか」と、父親に詰め寄りました。
すると父親は、
「これが盗人の仕事だから」
と、一言です。
前述した会社と数カ月契約したある男性は、「元の会社で10年勤めて学んだことを、この会社では1カ月で学ぶことができた」と言っていました。
そもそもなのですが、あなたの上司は会社員であって、億万長者ではありません。
サッカーのプロになりたければ、サッカーのプロから学ぶことです。
野球のプロになりたければ野球のプロから学ぶのです。
あなたが幸せな億万長者になりたければ、幸せな億万長者から学ぶのが当たり前では?
そのように考える私は、「会社を辞めたほうがいいかもしれないね」と繰り返し言っているのです。