「今からこの大福を全部売ってきて」

大阪の私の家の近くに、「商売が学べる」ということで有名な会社がありました。

その会社と契約をすると、新人は、「明日の何時に○○駅に来なさい」と指示をされます。

指定された駅に着くと、会社は新人に大きな箱を1つ渡すのです。新人がその箱を開けると、中にはギッシリと“大福”が入っています。

箱に入った大福
写真=iStock.com/Matic Grmek
※写真はイメージです

「今から、それを全部売ってきなさい」
「どうやって?」
「それは自分で考えてね」

何も教えない。当人は頭が破裂しそうになるまで考え、現場で汗をかく。そのことでしか人は体得することができない。そのことを知っているその会社は、「上司が部下に仕事を教える」という一般的な会社のルールを、完全に無視していたわけです。

盗人の父が忍び込んだ屋敷に我が子を閉じ込めた理由

中国の盗人の話をご存知でしょうか?

その昔、中国で、有名な盗人がいたそうです。盗人の子が大きくなり、「親父の後を継ぎたい」と言い始めました。

そこで盗人は、「ついて来い」と、一緒にお屋敷に忍び込みます。

一緒に忍び込んで、盗人のノウハウを教えてもらえるかと思いきや、父親はその屋敷にあった箱に息子を閉じ込めて、鍵をかけて逃げていってしまうのです。しかもわざと音を立てて、家中の人が大騒ぎして集まってくるように仕向けます。

「このままでは捕まってしまう!」

息子は必死で箱をこじ開け、散々な目に遭いながら、家に帰って来ます。

息子は「親父、ひどいじゃないか」と、父親に詰め寄りました。

すると父親は、

「これが盗人の仕事だから」

と、一言です。

前述した会社と数カ月契約したある男性は、「元の会社で10年勤めて学んだことを、この会社では1カ月で学ぶことができた」と言っていました。

そもそもなのですが、あなたの上司は会社員であって、億万長者ではありません。

サッカーのプロになりたければ、サッカーのプロから学ぶことです。

野球のプロになりたければ野球のプロから学ぶのです。

あなたが幸せな億万長者になりたければ、幸せな億万長者から学ぶのが当たり前では?

そのように考える私は、「会社を辞めたほうがいいかもしれないね」と繰り返し言っているのです。