常に反対のことを言ってくる学生
私は学生にこんな態度を取られて黙っているほうではありません。
こんなネガティブな相手は、こちらが述べたことに対して、どんな返しをしてくるか、簡単に読めるものです。そのため、このときは次のように話しました。その留学生を仮にS君としましょう。
私「みなさん(クラスへの問いかけ)、よろしいでしょうか。ずっと、ネガティブなことを言い続けている学生がいますが……」
クラス「(爆笑)」
S「私は何もネガティブなことは言っていません」
私「何に関しても反対のことを言っていますよね」
S「反対のことなど言っていません」
ここまでの会話で、おわかりになるはずです。彼は、常に反対のことを言ってくるのです。
私「私の言うことの、反対のことしか言ってませんよね」
S「そんなことはありません」
私「またですね」
S「いいえ。言っていません」
私「またですね」
S「……」
私「ずっと否定しているだけですよね」
S「話すのがダメなら、口を閉じて黙っています」
実際の会話は英語でしています。「またですね」と言うとき、私は“Again.”と言っています。
S君は、いちいち人と反対のことを言い続けているのですが、続けて何度も否定しているのを認識しておらず、もし認識しているとしても、それが恥ずかしいことだとは気づいていないのです。
ネガティブな人には、このような繰り返しのフレーズ“Again.”(=「またですね」)が効きます。そして、本人が否定を繰り返していること(=否定的なことを口にしている事実)をはっきりと指摘するのが、注意を与える際のポイントです。
日本には、このように誰かが行った行為について、皆の前(他の人がいるところ)で注意するのを不適切と考える風潮もあるようですが、私から見れば、その場で咎めることすらせず、止めさせることもできない方が、余程問題が大きいように思えます。
自分が口にしていることを自覚させる
「もう一つの五月病」で人と反対のことを言いはじめた新人にも、S君に話すのと同じ調子で話すのが効果的です。
先輩「君は『いやっ』ていう、否定的な返事をするよね」
新人「え、いやっ、そんなことは……」
先輩「そういう感じで、否定的だよね」
新人「否定っていうつもりはないんですけど」
先輩「また反対のことを言うんだね」
新人「いやっ、否定はしていないんで」
先輩「まただね」
こういう会話をするだけで、回復の見込みのある人であれば、自分が口にしているのがどんなことかに気づき、周囲の人がどう感じているかを理解するでしょう。