がんは「克服するもの」でも「打ち勝つもの」でもない

メディアでは、「がんを克服する」とか「がんに打ち勝つ」という言葉をよく目にします。がんは、まだまだ怖い病気ではありますが、共存できる時代になりました。うまく付き合っていってほしいのです。

終末期医療と誤解されがちな「緩和ケア」は、立派な標準治療であり、一部のデータでは、延命効果が科学的に実証されています。

だからこそ、欧米では、がんと診断されたときから緩和ケアをはじめるべきという考え方が主流です。

抗がん剤治療で、逆転満塁ホームランを期待できる免疫チェックポイント阻害剤なども出てきていますし、がんゲノム医療も保険適用になり、保険適用になる新しい放射線治療などもあります。

抗がん剤治療も、今ではほとんどのがんで、外来で治療が管理できるようになりました。

通院による治療が可能なのです。

勝俣範之『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)
勝俣範之『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)

がんとは共存していく時代であり、長い付き合いになります。

だからこそ、ご自身のより良い人生を諦めないことを最優先にしていただきたいと思います。

がんと言われますと、どうしても、焦ってしまい、慌てて、「○○療法でがんを克服する」などの怪しい情報にすがってしまうかもしれません。

どうかむやみに「がんを克服する」とか「がんに打ち勝つ」などのマスコミが好んで使うような言葉に惑わされることなく、焦らず、慌てず、諦めず、適切な情報を知って、がんとうまく付き合っていってほしいと思います。

【関連記事】
「胃の違和感」を放置してはいけない…自覚症状なしと思われがちな「すい臓がん」を早期発見する方法
"年約5万人が死亡するサイレントキラー"大腸がんの初期症状はここに出る…医師が40代から年一回勧める検査
薬を飲んだせいで認知症の症状が出てしまった…高齢者が避けるべき「認知症を誘発する薬」の名前
「腸活のために毎日ヨーグルトを食べる」はやめたほうがいい…実は副腎に負担をかけている逆効果の食生活
漢方薬の飲み過ぎで「大腸が真っ黒」になる…医師が「副作用に注意すべき」と警鐘を鳴らす漢方薬の名前