自転車の右側通行こそが諸悪の根源

そして、さらに驚くべきは、この出会い頭事故が、自転車事故の大部分を占めている、という事実だろう。

図表1にあるとおり、警察庁の統計では自転車対クルマの事故の54%を出会い頭事故が占めている。

同庁平成29年の発表資料には、ご丁寧に「全ての交通事故における出会い頭衝突事故の割合……24.5%」などとわざわざ書いてある(赤丸【参考】部分)。つまり自転車の出会い頭事故の割合は、すべての交通事故の割合の倍をはるかに超えるわけだ。

そりゃそうだ。自転車以外の車両はほぼ100%逆走しないんだから。自転車だけが「なんとなく逆走」し、その逆走が「なんとなく許され」ていて、その結果54%もの事故を引き起こしているのである。

「向こう岸に渡るのがめんどくさい」

そう、問題はその「なんとなく」の部分なのだ。われわれはなんとなくやってしまう。大通りの向こう岸に渡るのは面倒くさいし、歩道上なら大丈夫だろう(実際に歩道には左右の規制法がない)と思ってしまう。冒頭の主婦も、当たり前のように右側通行で突っ込んできていた。それがどんなに危険なことか、恐らくこの主婦は知らないだろう。

目の前の利便性に、「まさか」の危険認識は負けてしまう。でも、考えてみていただきたい。スクーターが、クルマが、逆走するだろうか。

私はこうとしか言えない。どうしても右側通行したいなら、降りて押して歩道を行きなさい。それならあなたは歩行者だ。降りて押すのがイヤなほど目的地が遠いならば、向こう岸に渡って左側通行しなさい、と。

【画像5】自転車に乗った女性が大きな車道を逆走していた
筆者撮影
【画像5】自転車に乗った女性が大きな車道を逆走していた

毎年300~400人前後が亡くなる自転車乗車中の死亡事故。他の車両と異なり、今や自転車死亡事故だけが増えている。右側通行をやめさえすれば、少なくとも出会い頭事故の半数以上を減らすことができる。これは決して過言ではないのである。

諸先進各国に較べて日本の自転車の事故率がかくも高い最大の原因は、実は「日本の自転車だけが左右デタラメ」という、ここにある。

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