わからないことに遭遇するたびに翻訳ツールで調べたり、機会があればネイティブに確認したりすることは大切ですが、ここで必要とされているのは根性ではなく、むしろ気楽なマメさです。
言語は未知なる生き物のようなものです。マシンと違って絶えず移ろうものですし、いくら学んでも学び切るということがありません。だからこそ、あまり細かいところにはこだわりすぎず、大らかに、気楽に、適当に学んでいく。いってみれば「あまり構えすぎないという心構え」で言語学習に臨むことが、挫折を防ぐ秘訣だと思います。
これは、特に文法についていえることかもしれません。受験英語を引きずっていると、どうしても「文法を完全に頭に入れてから、リスニングやスピーキングを鍛えよう」という発想になりがちです。すると文法の完璧さにこだわり、そのため細部にまでこだわり、さらには苦手の克服にこだわり……と、こだわりだらけになってしまいます。
まずは使えるフレーズから身に付けよう
しかし「コミュニケーションツール」としての言語を習得する上での文法の位置づけは、受験英語のそれとは根本的に違います。
ステップ①でネイティブの発音を真似しながら頻出フレーズを覚える、ステップ②で実践的な文法を学ぶという本書のメソッドにも現れているとおり、文法は、覚えたフレーズから逆算するように学んだほうが効率的なのです。
ステップ①では、ほぼ文法の知識ゼロのまま頻出フレーズを覚えることになるので、受験英語の記憶が色濃い人は、ひょっとしたらモヤモヤするかもしれません。
すると、文法のロジックを早く学んで納得したくなるかもしれませんが、そこをあくまでもラフに捉えたまま、まずフレーズから身につけていくというのを、ぜひ体験していただきたいと思います。
この「ラフで適当な学び方」の効果を、きっと実感していただけるでしょう。