苦手なところにばかり目を向けていると、学びたい気持ちがなくなってしまいます。努力してもなかなか克服できないのはつらいものですし、つらいと感じるものは長続きしない。挫折の一大要因は、「苦手を克服しようと努力するあまり、つらくなってしまうこと」ではないかと思うのです。

裏を返せば、苦手を克服しようと頑張らないことが、挫折知らずのマインドセットにつながるということです。

「話せる」のハードルを下げよう

外国の人と会うと、よく「日本語、話せるよ!」と言われるのですが、実際のところは「コンニチワ!」「サムライ!」だけだったりします。もちろん人によるのですが、外国の人のほうが、総じて外国語を話すことをカジュアルに捉えていて、「話せる」のハードルも低い気がします。

そもそも日本人の考える「話せる」のハードルが高すぎるのです。

もしかしたら、みなさんの中でも、母語と同じくらい自由自在に話せて初めて「話せるようになった」といえると思っている人は多いのかもしれません。だとしたら、もっともっと「話せる」のハードルを低くする必要があると思います。

生まれてからずっと触れてきた母語である日本語ですら、常に正しく話しているとは限りません。未だに知らない漢字や単語に出くわすことがよくあるでしょう。

ましてや大人になってから学んでいる外国語ともなれば、いくら学んでも間違えることがあって当たり前です。学んでも学んでも、まだ知らないことが残っている状態が普通なのです。

ですから、「語学の習得に完璧はない」と割り切りましょう。

その上で、「そもそも言語はコミュニケーションツールである」という基本を忘れないでいることも大切だと思います。

実際、相手の母語で簡単な挨拶や自己紹介ができるだけでも、多くの人は心を開いてくれるものです。おそらく相手の母語を学んでいるということ自体が、相手の国や文化に対する敬意と受け止められるからでしょう。

完璧にマスターなどしていなくても、まずは最低限のコミュニケーションさえ成立すればよしとする。それくらいリラックスしていたほうが、挫折することなく学び続けることができて、そのうち苦手なことも克服できるはずです。

屋外で話し合うビジネスマンたち
写真=iStock.com/Casarsa
※写真はイメージです

文法は「適当」でいい

言語を習得するには、とにかく毎日、その言語に触れる時間を作ること。壁にぶつかっても立ち止まらず、走り続けることが必要不可欠です。

これは「早く壁を打ち破れるよう、とにかく頑張れ」という根性論ではありません。

むしろ根性論は、私からすると言語学習の敵といってもいいくらいです。というのも、私の経験上、根性を発揮して無理に努力するよりも、無理のない範囲で楽しく学んだほうが、ずっと走り続けられるものだからです。