やりたいことの先送りは、残りの人生においてリスクそのもの

本稿を読んでいる人は、50代か、あるいは50代を目前にした人でしょう。50代こそ、自分がやりたいことをやるべきなのです。

そう言うと、

「今は仕事や家族に対する責任がある」
「老後の生活を考える必要がある」
「忙しくて時間がない」
「体力も衰えを感じるようになってきたし」

といった反論が返ってきそうです。でも、だからこそ、ずっとやりたかったこと、いつかは試してみたかったことを「今」始めるべきです。

それは、スポーツやダンス、旅、グルメといった趣味でも、資格の勉強でも、仕事のスキルアップでも、なんでもかまいません。

50代で、やりたいことを先送りしていることは、残りの人生においてリスクそのものです。

あえてきつい言い方をすれば、老後に楽しみをとっておくなんてバカな考え方は、しないほうがいい。

その理由をこれからつまびらかにしていきたいと思います。

定年退職したら、子供が自立したら……では遅い理由

ピカピカだった新車も何万キロメートルも走り続ければ、あちこちが故障し始めます。

私たちの心身も50代にもなれば、少しずつガタついてきます。

まずは筋力。筋肉は40歳あたりを境にじわじわと落ち始めます。加齢によって細胞が劣化するため、肌も内臓も劣化していきます。

腰や膝などの痛みも出てきて、激しい運動をすると腰や膝に負担がかかり、スポーツを楽しむのが難しくなります。

座って膝を両手で押さえる女性
写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです

「65歳の定年を迎えたら、世界中の雪山をめぐってスキーを楽しもう」

そんな夢は今だからまだ抱けるのです。

実際に65歳になったら、衰えた筋力やガタのきた膝では、スキーのようなハードな運動が困難になっているかもしれません。

「そうか。でも私は文化系だから関係ない。会社を辞めて落ち着いたら、好きな本や映画にどっぷり浸って過ごすつもりだ」
「自分もだ。会社人間の荷を下ろしたら、大学に入り直してずっと勉強したかった世界史を学び直してみたい」
「自分は起業に挑戦したい。今いる会社ではできなかった夢を叶えたい」

なるほど。

しかし、老化は何も体力だけに表れるわけではありません。

むしろ深刻なのは、脳の老化=感情の老化です。