ファミマが23年からパーカーの販売を開始
ファミリーマートが2023年末からスウェットパーカーなどの一般カジュアルウェアを取り扱い始めました。冬物のパーカーは現在終売していますが、コンビニが新たな衣料品販売のチャネルとして定着するかに注目が集まっています。
ファミマは2021年からオリジナルの靴下やTシャツの販売を開始しました。特にライン入りの靴下(税抜き390円、税込み429円)は「ファセッタズム」のデザイナーである落合宏理氏が手掛けており、発売当初からの累計で1600万足売れたと発表されています。
平均すると1年間に500万足以上売れたということになります。年間500万足という販売数量は他のファッションブランドと比べてもかなり多いほうなので、繊維業界はその数量の多さに色めき立ちました。販売数量から考えると好調と言って差し支えありません。
1店舗に1着なら1万6000着が必要になる
ファミマは靴下の成功を踏まえて、スウェットパーカーやブルゾンなど通常のカジュアルウェアの展開を増やし、23年11月にはファミマの服だけでファッションショーを開催して世間の耳目を集めました。このファミマの「成功」に対してメディアは伊藤忠商事による「ものづくり」によるところが大きいと報道しています。
しかし、筆者は伊藤忠商事でなくとも他の大手商社ならほぼ同様のものづくりが可能だったのではないかと考えています。理由はファミマの店舗数の多さです。
ライン入り靴下の発売当時、ファミマの店舗数は約1万6600店舗と発表されていました。同社の月次速報によると、2024年2月末時点でのプロパー店舗数は1万5343店舗、エリアフランチャイズ店を合わせた店舗数は1万6271店舗と少し減っています。プロパー店は2023年10月以降、閉店により店舗数が減少し続けていますが、エリアフランチャイズ店は安定しており、ほぼ増減がありません。
ファミマ全店に1足ずつ靴下を納入しようとすると、それだけで1万6000足が必要ということになり、最低でも1万6000足の生産数量が必要ということになります。1万6000足というと、現在の国内市場においては相当な生産数量です。