消えたタピオカ屋は「次のブーム」に乗り換えていた
何がブームになるかは分かりません。ブームがどれくらい大きくなり、どれくらい続くかも分かりません。
これを事業機会とする場合は、どんな商品にも寿命(プロダクトライフサイクル)があることを踏まえておくことが大事です。また、一過性のブームで終わるかもしれないリスクを考えて、いつでも撤退できるようにすることがリスク対策になります。
そのためには、少資金、省スペースで開店(開業)するなど、開業にかかるコスト(イニシャルコスト)を安く抑えることがポイントです。
ブームが長続きするようなら追加投資をし、冷めつつあると感じたら次の事業機会を探すといった柔軟性と俊敏性を持っておくことで、時代の変化に乗ることができるのです。
さて、一時期は街中に溢れていたタピオカ屋ですが、今も残っているのはGong chaやBull Puluなど一部のチェーンだけです。
消えたタピオカ屋がどこに行ったかというと、ある店は唐揚げ店になり、ある店はマリトッツォの店に変わり、ある店は焼き芋の店になりました。
イニシャルコストを徹底的に抑えることで短期で利益を回収し、ブームが去ったらすぐに見切りを付けて撤退する。
この変わり身の早さを活かして、消えたタピオカ屋は次のブームに乗り換え、新たな収益を生み出しているのです。
コンビニはいつから日用品を置くようになったのか
便利さは繁盛店の共通項です。便利な商品やサービスを提供することが来店理由になり、来店需要を生み出すことにつながります。
そのニーズに応えて成長してきた代表例がコンビニです。コンビニは24時間営業ですから、急な買い物にも対応できます。肉や野菜なども売っています。
近年はコンビニの多機能化が進み、ATMでお金をおろす、宅配便を送るといった用事も済ますことができ、その名の通りコンビニエンス(便利さ)が増しています。
また、最近は2リットルの水、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなど日用品の扱いも増えています。こうした品揃えの拡充によって、働く人や忙しい人を中心にコンビニをスーパーマーケット代わりに使う人が増えました。
この背景にある社会変化は、働く女性が増えたことです。専業主婦世帯と共働き世帯の数が逆転したのは1990年代のことです。80年代に入るまでは専業主婦世帯が共働き世帯の2倍を占めていましたが、2022年の調査ではその数は逆転し、共働き世帯が専業主婦世帯の2倍を占めるようになりました。未婚者も含む女性全体で見れば、働く人のほぼ半分(45%)が女性です。
仕事をする女性は日中に買い物をすることが難しいため、夜遅くまで開いている店を求めます。調査を見ても、専業主婦層の多くが午前中に買い物をしているのに対し、仕事をする主婦層の多くは15時から18時に買い物をしています。
また、仕事をしていると買い物に使える時間が少なくなります。安くてお得な商品を求めてあちこちの店を回る時間が減り、最小限の移動で必要なものが揃う店が重宝され、その結果としてコンビニの価値が高まったのです。