ニー・ディフェンダーが顕在化させた所有権の曖昧さ
このようにすでに存在した諍いの種を、ニー・ディフェンダーは顕在化させたと言える。ゴールドマンは所有権に関する曖昧さを商機と捉えて画期的な商品を開発したわけだが、しかし一方的に前の座席をロックする行為は礼儀に反する点が問題である。なんだか黙って人のものを取り上げるような感じがする。
ニー・ディフェンダーはくだらないアイデア商品に見えるかもしれないが、そこには現代社会においてイノベーションを牽引する偉大な要因の一つが働いている。価値のある資源が希少になると、人間は一段と激しくそれを争うようになり、自分に都合のいい所有権の解釈を相手に押し付けようとする。そこに起業家はチャンスを見つけるという成り行きだ。