300年続く「名門」の家に共通する2つの特徴

先ほどは「家」の概念に関連して、古くから続く名門の家系のお話をしましたが、200年、300年と続く名門の家には、ある種の共通する特徴があります。

芦原孝充『相続の処方箋』(日刊現代)
芦原孝充『相続の処方箋』(日刊現代)

繰り返しますが、ひとつは、「家族を大切にする」ということです。それは同様に「先祖を大切にする」ことにも繫がります。

先祖を敬い家族を大切にする、そうした自然の振る舞いを、生まれたときから身につけていく、またその子どもにも同様に受け継がれ、代々にわたり受け継がれ続けていきます。

そしてそのことは、結婚という大事な場面でも同様に、同じ遺伝子をもった家系と結び付いていきます。それは単なる言葉によるものではなく、その家に宿るお徳とでもいうのでしょうか、不思議にも、そうした結び付きというものが引き付けられ結び付けられていく、そういうものだと思います。

日本では昔から、神仏を拝み敬う文化があります。名門の家系にはそうした文化が古くから息づいています。日本には中国から仏教が伝来し、一方では古来より神様を祀ってきました。名門家に脈々と続く隆盛は先祖のおかげであり、その先祖を支えてきて下さった神仏をも同様に大切にし続けている、そのような慣習が家のあり方を形づくり、家の求心力に作用しているといえるのです。

もうひとつは、名門の家では「時間軸が長い」という特長があります。これも既述の、先祖を敬い身近に感じることと共通する観念です。

たとえば、江戸時代に建てられた古い家に住み、先祖が集めた陶磁器などの古美術を身近に感じ、祖父が生まれたときに植樹した桜の花を愛でるなど、そうした暮らしの中では、その観念の先にある時間軸は100年、200年、300年……と、なっていくのではないでしょうか。

時間を味方につけることができる、それが成功のカギです。そして名門家のすべてといっていいほど、どこの家も、時間が味方をしています。

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