人をコントロールしようとすると嫌われる

そのようなゴールがあるなら、レストランもある程度高級感があるお店を選ばされ、さらに、あなたはご馳走までしなくてはいけない状況に置かれる可能性もあるのです。

これは、強すぎる承認欲求で自分が理想の主役でないと気が済まず、よこしまな心でストーリーを計画してしまった状態です。つまり、このエピソードは、自己中心のマインドで人をコントロールしようとすると嫌われる、ということをお伝えしたかったのです。

誰かに何かしてほしいと思うこと自体は悪いことではありません。直接してほしいことをお願いしたり、相手が自ら望んでしてくれたりすること自体は、相手に不快感を与えていませんので、コミュニケーション上、何も問題は生じないのです。

しかし、相手が望んでいないにもかかわらず、望むことを強制し、そうしたいと言わせたり、行動したりするように仕向ける自己中心のマインドは、嫌われることになります。つまり、相手のことを考えずに自分だけが得をしようとするマインドでコミュニケーションを行えば、嫌われる可能性が高まるのです。

合コンで「ほら、いつもの話をしてよ」と合図する友人

もう一つ例を出しましょう。Fさんは何人かの友人たちと合コンに参加しました。会の中盤でGさんがFさんに何か言いたそうにしています。「ほら、いつもの話をしてよ」と合図してくるのです。それは、Gさんがいかにお料理上手で家庭的な女性なのかを印象付けるための定番のネタです。

ワインで乾杯をする人たち
写真=iStock.com/AsiaVision
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Fさんは心の中で、「え、またあの話をさせられるの?」と気が進みません。なぜなら、その話を切り出すには不自然すぎるタイミングでしたし、Gさんを持ち上げるだけで、他の誰も楽しくありませんから。

しかし、Fさんが躊躇していると、Gさんが「いつもFさんって私の作ったお弁当を褒めてくれるから嬉しくって……」と話題を持ち出してきました。Fさんは話さざるを得なくなり、定番ネタでGさんが料理上手なことを褒めました。この場合も、Gさんの自己中心的なマインドは、Fさんに見抜かれています。もしかしたら他の友人や合コン相手の男性たちからも違和感を持たれているかもしれません。