日本経済の停滞状況では頑張りにくい
おまけに、頑張っても報われないとか、頑張るだけ無駄とか思い込んでいる若者も少なくない。こうした思い込みの背景には日本経済の低迷もあるように見える。
Z世代が生まれた1990年代後半以降、日本経済はほとんど成長できないまま停滞しており、会社という組織の理不尽に耐えた“見返り”ともいえる終身雇用や年功序列の制度を維持するのが困難になった。この情勢を目の当たりにして育った彼らが「辛抱して頑張っても、理不尽に耐えても報われない」と思い込むようになったとしても不思議ではない。
そのうえ、現在の勤務先への帰属意識が希薄になったことも大きい。昭和の時代であれば定年まで同じ会社で働くのが当たり前だったが、昨今は必ずしもそうではなくなった。
それと軌を一にして、離職や転職に対して抵抗感をあまり覚えない人も増えたように見える。当然「どうせ定年までいるわけではないので上司の指示に従う必要はない。我慢して嫌な仕事を引き受ける必要もない」という認識が生まれやすい。
労働時間の見返りをシビアに計算している
その裏には、たとえ自分が無理して頑張っても、会社の倒産やリストラに直面する可能性だってあり、そうなれば“働き損”になりかねないが、そんなのは嫌だという心理が潜んでいるのではないか。
このような心理はわからなくもない。名だたる大企業でも不祥事で迷走しているし、これまでは業績がよかった企業でも早期退職を募集している御時世である。そういう現状を見ると、誰だって不安になるので、自分が仕事で費やす時間にどれだけの見返りがあるのか、よりシビアに計算しようとするのは当然の反応ともいえる。
おそらく、現在の職場に将来性がそれほどないと判断すれば、早々に見切りをつけるだろう。在職中にスキルアップし、できれば資格も取得して、より有利な条件で転職したいというのが本音に違いない。そのためには時間を有効に使わなければならないので、他人の仕事を手伝うなんて論外なのかもしれない。