※本稿は、片田珠美『職場を腐らせる人たち』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。
学歴をひけらかし、いつも相手を見下す人
私が定期的にカウンセリングを行っている金融機関で、20代の男性行員のことで相談を受けた。この男性は、「最近、一流企業の○○会社の社長さんと会ってさ」「僕は有名な△△大学の出身でさ」などと言っては、いつも相手を見下す。そのため、ほとんどの同僚が辟易しているのだが、本人はまったく気づいていないらしく、相変わらず学歴をひけらかし、自分が偉い人を知っているという話を繰り返すそうだ。
この男性が高学歴なのは事実である。もっとも、仕事ができるかというと大いに疑問だ。
本人は融資課で審査業務に従事することを希望していたので、入行後いくつかの部署を回った後、融資課に配属された。個人や企業の顧客に融資し、その額に比例して利子を稼ぐのが金融機関のビジネスモデルなので、実績が目に見えてわかる花形の融資課で活躍したいという願望が強かったようだ。名門大学出身ということもあって、上層部もこの男性にかなり期待していたと聞く。
銀行員なのに顧客にうまく対応できない
ところが、顧客対応があまり得意ではなかった。審査の際には、融資を希望する顧客と直接面談して話を聞き、交渉や調整をする必要があるのだが、それがうまくできなかったのだ。
こうした事情があったからか、この男性は上司から勧められて私のカウンセリングを受けた。その際、そもそも他人と話をすること自体が苦手で、顧客との面談があるときは、前の晩から緊張して眠れなくなると訴えた。
顧客との面談で、必ずしも決算書に記載されているわけではない情報を引き出し、業務内容や財務状況を正確に把握することができないと、融資が可能かどうかを判断するのは難しい。そのせいか、この男性は判断に時間がかかり、融資案件の数をこなすことができなかった。