食べ放題の店がたくさん食べられても儲かる仕組み

最近街を歩いていて増えてきたと感じるのが食べ放題です。

さすがに40代も半ばに差し掛かると以前のように何が何でも元を取ろうという闘志はなくなりましたが、好きなものを好きなだけ食べられるというのはワクワクします。

我が家の子供にもフレンチや和食のコースよりも間違いなく食べ放題の方が人気です。いくらでも食べていいとなるとやはり気になるのは経営状況です。あれだけ好きな物を好きなだけ食べられたらお店としても赤字になって、潰れてしまうんではないかと心配になる方もいるかもしれません。しかしご安心を! しっかり儲かるからこそ、店舗が増えているのです!

なぜ食べ放題の店はあの価格でもやっていけるのか?

まず食べ放題はそもそもの価格設定がそれなりに高いです。焼肉業態のディナーであれば3000~4000円はします。更に飲み放題をつけると1500~2000円が加算されます。この価格設定は、単品で焼肉を好きな分だけ注文したと考えればお得かもしれません。

しかしディナーで使う金額と考えれば実はそれなりの価格になります。お客さんからすると、たくさん食べる分、お得感はありますが、お店からすると多少たくさん食べられても価格設定がそれなりに高ければ控えめに単品を注文されるよりも実は儲かります。

図表4は通常オーダーの場合と飲み放題の場合のお店側の利益比較になります。

生ビールの販売単価500円、原価単価150円。酎ハイの販売単価400円、原価単価50円で計算してみます。

通常オーダーの場合、金額のことを気にしながら飲むので若干控えめな数量になりがちです(①1400円)。しかし時には思いっきり飲みたい夜もあり、その場合通常オーダーだと結構な金額になります(②2800円)。

お客さんからすると思いっきり飲みたい時は飲み放題の方がお得なので飲み放題をチョイスします。上記の場合、飲み放題にすることで②の2800円から③の2000円になるのでお得です。お店側の利益も②の通常オーダーで思いっきり飲んでもらった方が一番多くなります。

平野薫『なぜコンビニでお金をおろさない人はお金持ちになれないのか?』(ダイヤモンド社)
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しかし、通常オーダーで控えめに飲んだ場合①と飲み放題で思いっきり飲んだ場合③では、実は③の方がお店としては多くの利益がたくさん残ります(①1050円、③1300円)。これと同じようにある程度の価格設定にしておけば、たくさん食べるお客さんがいたとしてもそれなりに儲かる仕組みになっています。

飲食店の食材原価は一般的に30%ほどといわれており、食べ放題の場合は沢山食べる人がいればその分原価は上がりますが、元々の単価を考えれば原価割れするようなことはほとんどありません。ご飯物やサイドメニューは驚くほど原価が低いものも多いので、実際は思っているほど原価は高くないのです。