「楽天エコシステム」を持つ楽天証券

トップの楽天証券のNISA口座数は、足元では524万口座に達しており、NISA口座稼働率も66.8%と高い(2024年1月末)。新規口座開設者の半数を30代以下と女性が占めているのも特徴であり、NISA口座全体だけでなく、つみたてNISAともにシェアナンバー1だ。

楽天の躍進の原動力となっているのが、楽天経済圏の存在である。電子マネー、ポイント、クレジットカード、銀行連携が一体となった「楽天エコシステム」により、便利で魅力ある顧客サービスが実現している。投信積立、つみたてNISA、iDeCoが、相互にリンクしながら資産形成サービスが形成されており、ポイント投資、クレジットカード決済など、楽天グループの連携により顧客の囲い込みも進化している。

また、みずほ証券との資本業務提携により、みずほ顧客の楽天証券への顧客誘導もこの先進むとみられる。

おもちゃのショッピングカートに積まれたPの文字が書かれた木製ブロック
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
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売買手数料無料化で追い上げるSBI証券

SBI証券も負けてはいない。NISA口座数は438万口座(2023年12月末)でシェアナンバー2だ。日本株の売買手数料無料化に加え、新NISAにおける米国個別株(ADR含む)や海外ETF(米国・中国・韓国・シンガポール)の売買手数料も無料化に踏み切っており、足元でも、NISA口座の新規開設件数や他社からのNISA口座金融機関変更件数は増加基調にあるという。SBI新生銀行も加わったSBIグループによる「地銀連合構想」における金融商品販売の強化に加え、SBI証券と金融商品仲介で提携する地銀や信金を通じた全国規模のネットワークによる集客力は絶大だ。

ネット証券2強であるSBI証券と楽天証券が、NISAを含む口座数や預かり資産などで圧倒的なシェアを占めるなか、マネックス証券は、2023年10月、NTTドコモとマネックスグループ、マネックス証券が資本業務提携を締結した。2024年1月には、NTTドコモがマネックス証券を子会社化している。マネックス証券は、株式手数料ゼロ化を実施せず、NTTドコモと組むことで、NISA口座の獲得やポイント経済圏の拡大などを目指している。