受験勉強と同じやり方で努力していても壁にぶつかる

大学受験までは、「努力の方向性を定める能力」はさほど必要ではありませんでした。

公教育も充実していますし、塾も予備校も参考書も豊富にあります。「この方向が正しい」という道しるべが明確ですから、その方向へ力任せにグングンと突き進んでいれば、それで結果が出たのです。

ただ、そのやり方では、いずれ壁にぶつかるときがきます。人生には道しるべなどないからです。

大学に入り、急に道しるべがなくなった中、同級生たちは「今まではこの道が正しかったから」と、高校までと同じ勉強の仕方をして結果が出ず、私は「どの道が正しいのか」を考えて、道筋を自分で定めてから行動に移したから、結果が出た。テストの点数の差は、たったそれだけの差なのだと私は思います。

自分で「どの道が正しいのか」を見つけなければならない

かつては、大人になってからも、「努力の方向性」を定める能力がさほど重要ではない時代がありました。

青笹寛史『凡人でも「稼ぐ力」を最大化できる 努力の数値化』(KADOKAWA)
青笹寛史『凡人でも「稼ぐ力」を最大化できる 努力の数値化』(KADOKAWA)

とにかく「つぶれない会社」に就職さえしてしまえば、一生安泰。真面目に毎日会社に通勤するだけで、年々給料が上がり、出世していく。老後も年金が手厚い。「みんなができること」を「みんなより多くやること」が努力であり、やればやるほど評価が上がった――そのような時代が確かにあったのも事実です。

しかし、時代は変わりました。

終身雇用や年金神話は遥か昔に終わりを告げ、今や国が率先して、副業や投資を勧める時代です。

AI(人工知能)の発達もすさまじいものがあります。これまで人間がやってきた仕事も、どんどんAIに任されるようになるでしょう。そのほうがコストもかからず、正確だからです。加えてAIは、疲れ知らずです。

誰もができるような仕事を大量にこなして評価される時代は、もう終わってしまいました。そのようなことはもう、努力とは呼ばれなくなってしまったのです。

これからの時代を生きる人に求められるのは、「正しい努力は何なのか」を探し出し、その方向に進み出す力です。

国や会社に依存しきれない社会だからこそ、正しい努力を積み重ねて「個」の力を磨き、自分ならではの強みを発揮していく必要があるのです。

組織に所属せずに働く「フリーランス」も増えました。自分ならではの得意分野を武器に収入を得て食べていける時代になったのは、「かつてより自由な時代になった」ということでもあります。厳しい世の中にはなりましたが、個性は発揮しやすくなりました。だからこそ、自分なりに「どの道が正しいのか」を見つけ出し、正しい努力を積み重ねる重要性が増したともいえます。

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