衝撃的だったChatGPT登場から時間が経ち、その長所と短所が見えてきた。私たちはこれからどのように生成AIを活用していけばよいのか。『ChatGPT「超」勉強法』を上梓した野口悠紀雄さんは「ChatGPTの登場は『勉強革命』だ。短所に対応しつつ、長所を正しく活用することで飛躍的な成果が得られる」という――。(第1回/全4回)

※本稿は、野口悠紀雄『ChatGPT「超」勉強法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

勉強のコツは「できるだけ早く先に進んで、全体を捉える」

私は、「超」勉強法という方法を提唱してきた(*)。これは、いくつかの点で、常識的な勉強法とは異なるものだ。

*野口悠紀雄『超「超」勉強法 潜在力を引き出すプリンキピア』参照。

「超」勉強法の原則の1つは、全体を捉えることによって部分を理解すること、そして、そのために、できるだけ早く先に進むことだ。

数学、物理学、統計学などでは、基礎概念を学んでからその応用に進むべきだと考えられている。しかし、基礎概念から順に進んでいくという方法は、効果的な勉強法ではない。

効果的でない最も大きな理由は、基礎は退屈で難しいことだ。例えば、微分法の基礎を完全に理解するのはたいへん難しい。それに拘泥こうでいするより、微分法の公式を使って問題を解くほうが重要だ。

証明なしで定理を使い、それがどのような可能性を持っているかを知る。そしてつぎに証明を見、さらに概念を学ぶ、という方法のほうがよいのである。これは、ガソリンエンジンの原理を理解していなくとも、とにかく自動車の運転を始めてみるのと同じことだ。

タブレットを持っている人とAIのイメージ
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「超」勉強法の3原則は不変

「超」勉強法では、上の原則に加え、「数学の問題を自分で考えて解くのでなく、解き方を暗記して、様々な問題に当てはめればよい」こと、「何が重要かを把握し、努力をそこに集中すべき」ことをも強調した。そして、これらを合わせて、〈「超」勉強法の3原則〉とした(*)

*『超「超」勉強法』第7章の1。「数学の解き方を暗記せよ」というのは、早く先に進むための手段であり、重点化を可能にする手段だ。

山登りで頂上まで行けば、視界が開けて、下界の様子がどうなっているかを把握できる。それと同じように、勉強においても、ある程度進んでから振り返れば、様々な概念の意味や重要度が分かるのである。

その意味で、「できるだけ早く進め」という原則と、「重点化が必要」という原則は、密接に関連している。

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