※本稿は、野口悠紀雄『ChatGPT「超」勉強法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
勉強のコツは「できるだけ早く先に進んで、全体を捉える」
私は、「超」勉強法という方法を提唱してきた(*)。これは、いくつかの点で、常識的な勉強法とは異なるものだ。
*野口悠紀雄『超「超」勉強法 潜在力を引き出すプリンキピア』参照。
「超」勉強法の原則の1つは、全体を捉えることによって部分を理解すること、そして、そのために、できるだけ早く先に進むことだ。
数学、物理学、統計学などでは、基礎概念を学んでからその応用に進むべきだと考えられている。しかし、基礎概念から順に進んでいくという方法は、効果的な勉強法ではない。
効果的でない最も大きな理由は、基礎は退屈で難しいことだ。例えば、微分法の基礎を完全に理解するのはたいへん難しい。それに拘泥するより、微分法の公式を使って問題を解くほうが重要だ。
証明なしで定理を使い、それがどのような可能性を持っているかを知る。そしてつぎに証明を見、さらに概念を学ぶ、という方法のほうがよいのである。これは、ガソリンエンジンの原理を理解していなくとも、とにかく自動車の運転を始めてみるのと同じことだ。
「超」勉強法の3原則は不変
「超」勉強法では、上の原則に加え、「数学の問題を自分で考えて解くのでなく、解き方を暗記して、様々な問題に当てはめればよい」こと、「何が重要かを把握し、努力をそこに集中すべき」ことをも強調した。そして、これらを合わせて、〈「超」勉強法の3原則〉とした(*)。
*『超「超」勉強法』第7章の1。「数学の解き方を暗記せよ」というのは、早く先に進むための手段であり、重点化を可能にする手段だ。
山登りで頂上まで行けば、視界が開けて、下界の様子がどうなっているかを把握できる。それと同じように、勉強においても、ある程度進んでから振り返れば、様々な概念の意味や重要度が分かるのである。
その意味で、「できるだけ早く進め」という原則と、「重点化が必要」という原則は、密接に関連している。