党主導の政策は裏目に出る可能性が高い
しかし、今後の中国が、すぐにそうした方向に向かうとは考えづらい。特に、不動産企業や地方政府の債務問題が深刻化する中、政府の不良債権問題処理はあまり進んでいない。不良債権問題が残る中、デフレ圧力は高まり個人消費も盛り上がらない。統制強化は人々の不安や不満を増幅し、消費や投資意欲が減退する恐れも高い。それは個人消費の減少要因だ。
李強首相は、海外企業の誘致にも積極的に取り組むという。しかし、統制強化に加え、景気低迷懸念の高まり、地政学リスク、先端分野での米中対立の先鋭化など、海外企業の阻害要因は増える。目標とは裏腹に、外資の海外流出が勢いづく恐れのほうが高いかもしれない。
全人代で政権が統制強化を明確化した結果、中国が個人消費主導の経済運営を目指す難しさは増したと考えられる。2023年のGDP成長率がゼロコロナ政策終了による反動に押し上げられたことも踏まえると、5%前後の成長実現は難しいだろう。