「あきらめる」と、人生は驚くほど好転する

何かを諦めるのは不甲斐ない、情けないと思っているなら、それは間違いです。

「あきらめる」を辞書で引くと、最初に【明らめる】と出てきます。意味は①明るくさせる②事情などをはっきりさせる。次が【諦める】で、(「明らめる」の②の意から)思いきる。仕方がないと断念したり、悪い状況を受け入れたりするという意味。

ですから、断念するという意味の「諦める」には、朝に明るくなって景色がはっきりするように、事情をはっきりさせた上で思いきる覚悟が必要です。

「諦」は「つまびらかにする、明らかにすること。仏教語では真理。また、真理をさとる」という意味で、マイナスの意味は微塵もありません。

このように、事実関係や事情を明らかにした上で諦めるなら、むしろそれは理に適っているのです。

途中で嫌になったから、人から言われたからやめるなど、事の真相を明らかにしないまま投げ出すのならともかく、「こういう事情だから、やめる」と納得して諦めるなら臆することはありません。

「あきらめる覚悟」を持って物事に向き合えるようになれば、人生は驚くほど好転していきます。

未知への不安を「スルーする」極意

新型コロナ感染症のパンデミックが始まったころ、世界中が大混乱になりました。今生きている誰もが経験したことのない前代未聞の事態だったからです。

私は檀家だんかさんや講演会の参加者に「経験したことがないのですから、政府だって、私たちだって、右往左往するのは当たり前でしょう」と、何度もお伝えしました。

前代未聞の事態への正しい対処法など誰もわからないという事実をまず受け入れて、冷静になっていただきたかったからです。

名取芳彦『達観するヒント もっと「気楽にかまえる」92のコツ』(三笠書房)
名取芳彦『達観するヒント もっと「気楽にかまえる」92のコツ』(三笠書房)

人は生まれてから自分にとって未知のことに次々に出合い、その対処法を少しずつ身につけていきます。そして既知の出来事が増えていくにしたがって、「ま、世の中はそんなものだ」と考えられるようになります。

20代では20代の「ま、そんなものだ」があり、30代では30代での「ま、そんなものだ」をものにしていくのです。

あなたが前代未聞の事態に遭遇したとき、お年寄りに「これって、そういうものですか」と聞いてみてください。「そうさ」と答えるでしょう。多くの経験から「ま、そんなもんだ」とスルーする極意を学び、心の風通しを良くしていきましょう。

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