困った行動がエスカレートする

困ったを増やす接し方② 何をしても叱らない

では、まったく叱らなければいいのかというと、それも違います。

愛着の問題を抱えるこどもは、「こんなことをしても叱られないんだ」と受けとめると、「これも叱られないぞ」「こんなことも平気だぞ」とどんどん自己高揚して、やりたい放題やってしまう特徴があるからです。

「お母さんは人前だと叱らないんだ」「先生は○○のときはそんなに怒らないな」と許される状況を探して、行動をエスカレートさせてしまいます。

暴れても好き勝手しても叱られずにいると、今度は「自分のほうが相手より上なんだ」と思うようになり、自分を叱れない相手を舐めてしまうのです。

そして、いつのまにか親や周囲の大人を支配するようになります。

「大人を支配する」とは、その子の命令に逆らうと暴れたりするので、しだいにそのこどもに対し腫れ物にさわるような対応をしてしまったり、こどもの言いなりになってしまいます。

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。

愛着の問題を抱えるこどもには、安心基地がありませんから、「自分のほうが優位なんだ」という感覚を得ることで安心感を得ようとするためです。

周囲が命令や支配に従えば従うほど、こどもの命令も支配もエスカレートしていくことになります。

怒ってしまったら、あとで必ずフォローする

私たち大人が罪悪感を抱くのは、こうしてエスカレートしたこどもの言動に思わずカッとなって怒ってしまったとき。どうしても腹が立って、つい……、ということはあるわけです。

ただ、こどもにしてみれば、大人が勝手に燃え上がって火の粉を振りまいているとしか感じられませんから、嫌な感情が燃え広がって増幅するだけです。

「怒る」という行為は、お互いにとっていいことがひとつもありません。

もちろん一度嫌な気持ちに見舞われたからといって、未来永劫えいごうその気持ちのままということはありませんが、ネガティブな気持ちは長引くのが特徴です。どこかで気持ちを切り替えないと、お互いに嫌な気持ちを引きずってしまいます。

ですから怒ってしまった場合は、「さっきは怒っちゃったけれど、あなたを嫌な気持ちにさせたくて言ったわけじゃないんだよ」と、あとで必ずフォローしてあげることが大切です。

子供と向き合って話をする母親
写真=iStock.com/kokoroyuki
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