「僕にはもう時間がない」
ガロアの運命の日は、突然やってきました。
1832年5月30日、パリの郊外で行われた決闘で、ガロアは命を落としてしまうのです(実は、決闘の原因が何だったのか、今もよくわかっていません)。
そして、この決闘の前夜、自らの死を覚悟したのか、ガロアは友人に宛てた手紙の中でもう一度ガロア理論を整理し、遺書として記していました。そこには、こんな言葉が添えられていたのです――(図表15)。
遺書を受け取った友人たちの努力によって、ガロアの死後、ガロア理論は出版されることになりました。
しかし、数学界がガロア理論を真に理解するまでには、さらに何十年もの時間が必要だったのです。
王政打倒を目指す革命家として戦いを繰り広げながら、同時に、死の直前まで自らの斬新な数学のアイデアを残そうともがき続けたガロア。激動の人生を駆け抜けたガロアの胸の内を想像すると、新しい社会や新しいアイデアを作り上げて広めたい! そんな情熱できっと熱く熱く燃えたぎっていたんだろうと思います。
不遇のまま、わずか20年の生涯を終えたガロアでしたが、そのアイデアは確実に世界を変え、今も生きています。
ガロアの情熱は今も私たちに無限のエネルギーを与えてくれている、そう感じませんか?