週末や長期休暇などの帰省の際、実家や義実家、親戚宅で夫はどのように立ち回るのがいいのか。コラムニストの石原壮一郎さんは「自分の親や実家は、とても大切で、それは妻も同じ。大前提を忘れて己の立場や気持ちばかりを優先すると、とんでもない事態を招く」という――。

※本稿は、石原壮一郎『押してはいけない 妻のスイッチ』(青春新書プレイブックス)の一部を再編集したものです。

風呂敷包みのお土産を手渡しする場面
写真=iStock.com/hungryworks
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スイッチの密集地帯であると認識し、言動に細心の注意を

それぞれの実家、とくに夫の実家は、押してはいけないスイッチの密集地帯です。それぞれの親や親戚に関する話題にも、どこに妻のスイッチが潜んでいるかわかりません。

妻にとって夫の親はいつまでたっても緊張する相手だし、夫の実家では疎外感を覚えてしまいます。仲良くやってくれているようでも、それは妻の賢さと気配りのたまもの。労わりと感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。

そして、夫が自分の親や実家を大切に思うように、妻も自分の親や実家を大切に思っています。しかし夫は、自分の親や実家に対する思い入れや忠誠心が先走って、妻の気持ちをないがしろにしがち。悪気はなかったとしても、それはかなり身勝手な振る舞いです。

厄介な状況の中で大切なのは「妻の味方でいる」という覚悟

さらに厄介なことに、夫の心の奥底には、実家の親の価値観がこびりついています。その価値観はほぼ例外なく、妻にとっては理不尽で不愉快なものと言っていいでしょう。

妻は妻で、実家の親の価値観が心の奥底にこびりついていますが、極端に夫を苦しめるケースは少なめです。そんなバランスの不均衡も、いさかいが多くなる一因かも。

夫としては、まずは妻が置かれている立場の微妙さを認識しましょう。夫側の実家や親に対して、複雑な気持ちを抱いていることにも想像力を働かせたいところ。何より大切なのは、「どんなときも妻の味方でいる」という覚悟です。