運用資産残高が1兆円を超えている金融商品

なお、全世界株式のインデックスファンドは、日本株も含むものに投資することが好ましいが、日本株抜きの全世界株式、あるいは先進国株式といったインデックスも内容が近い。手数料の十分安いものであれば、投資して構わない。細かい差にこだわる必要はない。

現在、投資していい条件に該当する全世界株式のインデックスファンドは複数あるが、代表的なものを2つ挙げておく。

山崎元『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』(Gakken)
山崎元『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』(Gakken)

どちらも三菱UFJアセットマネジメントの商品だが、特にこの会社に義理がある訳ではない。資産残高が大きくて代表的な商品として挙げた。

・「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」
・「MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投資信託」
(証券コードは2559)

前者は、投資家の間で通称「オルカン」と呼ばれている。比較的早くからこの分野の商品に力を入れ、運用コストの引き下げにも熱心だったこともあり、本書執筆時点の運用資産残高は1兆円を大きく超えている。同じく運用管理費用(信託報酬)は年率0.05775%以内だ。

アクティブファンドに年利1%払うアホらしさ

つまり、現在、おそらく最善の運用商品が、運用資産100万円当たり年間578円以下の手数料で利用できるのだ。運用は、お金を増やそうとする行為だ。例えば、アクティブファンドに年率1%(100万円に対して1万円)もの手数料を掛けることがどれだけアホかは、考えてみなくても分かるだろう。

後者のETFは、一部の投資家には投資しやすいだろうし、東証の上場商品なので、対面営業の証券会社でも取り扱いがある。こちらの信託報酬率は0.0858%(税抜き0.078%)だ。

他社からも、似た属性の商品が出ているし、今後も新しい商品が出る可能性がある。手数料はすでにかなり下がっているので、顕著な改善のある商品が出る可能性は乏しいが、他の商品に投資しても構わない。

【関連記事】
【第1回】お金の心配をせず、気分よく生きていくために…余命3カ月の山崎元さんが大学生の息子に書き残したこと
新NISAは「オルカン一択」と決めつけてはいけない…「全世界への分散投資」を選んではいけない人の条件
新NISAはこれを買っておけば間違いない…投資のプロが「最も成功確率が高い」とオススメする金融商品
日本株の正念場は「4万円超え」の後に来る…日経平均の急落に備えて投資家が注視する「米国の指標」とは
新NISAが始まっても投資に手を出してはいけない…経済学者が「老後に備えるならコレ」と唯一勧める金融商品