女性を蔑視する麻生発言は初めてではない

麻生氏はこれまでにもさまざまな人権を軽んじるような発言で批判されてきた。ナチスやヒトラーの賞賛とも取れるトンデモ発言もあったが、特に今回は女性蔑視につながる発言を挙げる。

いかにも年寄りが悪いという変なのがいっぱいいるけど、間違っていますよ。子どもを産まなかった方が問題なんだから」(副総理兼財務省時代、2019年2月福岡県芦屋町内の講演で)

(女性記者は)ネタをもらえるかもって、それでついて行ったんだろう? 触られてもいないんじゃないの?」「次官の番(番記者)をみんな男にすれば解決する話なんだよ」「セクハラ罪という罪はない」(副総理兼財務省時代、2018年4月、5月、当時の財務事務次官のセクハラ問題に関連しての発言)

そりゃ金がねえなら結婚しない方がいい。うかつにそんなことはしない方がいい」(首相時代、2009年8月、学生との対話集会で。若者に結婚資金がないことが少子化に繋がっているのではないかと指摘されて)

私は43で結婚してちゃんと子どもが2人いましたから、一応最低限の義務は果たしたことになるのかもしれない」(首相時代、2009年5月衆院予算委員会で)

東京で美濃部革新都政が誕生したのは婦人が美濃部スマイルに投票したのであって、婦人に参政権を与えたのが最大の失敗だった」(1983年高知県議選の応援演説で)

なぜキングメーカーとして君臨しているのか

発言の根底にあるのは、強烈な家父長制に基づく性別役割分業意識、女は子どもを産み家事育児に専念すべきだという意識だ。2009年の学生との対話集会では、男子学生に対しては、「稼ぎが全然なくて尊敬の対象になるかというと、なかなか難しいんじゃないか」とも語っている。

こうした発言をするたびに野党やメディアから批判され、発言を撤回し謝罪するということを麻生氏は繰り返してきたが、一向に変わらない。今回も発言から5日後の2月2日に「容姿に言及したことなど表現に不適切な点があったことは否めず、発言を撤回させていただきたい」とのコメントを発表したものの、おそらく何が悪かったのか本質的な過ちを理解しようともしていないし、反省もしていないのだろう。だから、同じような差別発言を繰り返してきた。こういう人に意識変革を求めても、もう無理だし無駄だろう。

問題はこうした人物をいまだに政界の「キングメーカー」として存続させていることだ。これらの発言は決して飲み屋の放談ではない。いずれも講演会やメディアの取材という公の場でのもので、中には首相時代のものもある。公の場でこうした差別発言を繰り返す人物を政界の最大実力者として君臨させているのは、自民党や麻生氏の支持者、メディアにあるのではないか。