「LDKの常識」に捉われないと選択肢が広がる

「LDKは、1階にあるのがあたりまえ」「LDKは、3つでワンセット」。多くの人が常識と思っているこれらの発想は、実は固定観念にすぎません。

確かにLDKは、基本的に1階に配置しますが、それが最適ではないケースもあります。その解決策のひとつが、「2階にLDKを配置する」という方法です。

2階LDKは採光や直射日光の取得に優れ、眺望がよく、プライバシーも守りやすくなります。天井に勾配をつければ空間が広く使えます。建物の構造としても強くなります。

デメリットとしては、階段の上り下りが必要になりますが、家族が健康で暮らす数十年の間はあまり気にならないはず。病気や事故のリスクはゼロではありませんが、その可能性をおそれて快適さをあきらめ、1階につくるかどうか。リスクに対する個別の判断になります。

また、LDKは「3点セット」ではありません。たとえばダイニングを設けず、「LK」スタイルにして、ソファやテーブルを置かずに床座で生活してみる。こうして固定観念を外すと、家づくりの選択肢が広がります。

家事動線の誤解→家事ごとに区切って考えよう

間取りに関する要望のひとつとしてよく挙がるのが、「家事がしやすい間取り」というもの。それを実現すべく登場するのが「家事動線」という言葉です。

家事動線を「キッチンや洗面所、物干し場などをなるべく近くに配し、効率的に移動できるようにする」ととらえている人が多くいます。

ただ、実際にキッチンと洗面所が近ければ家事がラクになるかといえば、そうでもありません。

たとえば洗濯機は全自動化が進んでおり、ボタンひとつで乾燥までできるものが増えています。それを使うと、ボタンを一度押したあとは、洗濯が済むまで洗面所に近づくことはないはずです。

何度も出入りするなら、動線という考え方が重要になりますが、それがないなら、水まわりを1カ所に集めて動線をつくる意味はあまりないでしょう。

たとえば1階にキッチン、2階に浴室と洗面所を設けても、問題なく家事をこなせるはずです。あまり動線にこだわりすぎず、「家事ごと」に区切って、ラクな配置を考えてみるといいと思います。