ここ100年間で震度5以上が最多の都道府県は「東京都」

気象庁は、わが国で発生した1919年以来100年以上の地震の震度データベースを公開している。これによって、震度5以上のかなり大きな地震の回数を都道府県別に集計したデータを図表2に掲げた(注)。青い棒グラフは1960年代以前の51年間の地震回数、オレンジ色の棒グラフは1970年代以降、先月までの54年1カ月間の地震回数をしめした。

(注)図表1で見ても地震回数は「震度5強以上」でカウントするのがよさそうなのだが、震度5および震度6で弱と強が区別されるようになったのはそう古いことではなく、データベース上も1996年10月以降なので長い時系列データを得るために「震度5以上」の回数とした。

【図表】日本列島の各地域でこの50年に、その前の50年を上回る地震が発生

大まかな特徴を見ると、日本列島の地震はこの100年、愛知県より東の東日本と熊本県より南の九州南部・沖縄で多かったことが一目瞭然である。

また、もうひとつの特徴、すなわち1970年代以降の約50年間の方がそれ以前の約50年より多くの地震が発生している点も印象的である。

意外なことに都道府県で最大の地震回数を記録しているのは、この50年も、その前の50年も東京都である。これは、三宅島噴火など伊豆諸島や小笠原諸島の噴火活動に伴う地震を含んでいるからであるが、それにしても首都である東京都で地震の最大回数を記録しているというのはやや驚きである。

この50年で見ると、東京都の57回に次いで地震が多いのは、福島県の52回、茨城県の48回、北海道の45回、宮城県の44回となっており、やはり三陸沖を震源とする東日本大震災の影響が大きいことがうかがわれる。その証拠に東北地方でも日本海側の秋田、山形の値は小さい。

1960年代以前では、東京都の20回に続いて、静岡県と愛知県が同数の17回で多くなっており、この2県については1970年代以降の地震回数より多くなっている。これは終戦前後の東南海地震、三河地震やそれ以前の1920年代~1930年代に大きな地震が発生していたからである。

なお、この100年では、三重県から九州北部の長崎県までの地域は、それ以外の地域と比較して比較的地震が少なかったことが分かるが、この地域には、東海地震と並んで東南海・南海地震という大地震の発生が予測されており、決して安心できるわけではない。