母親に捨てられる
離婚後、相変わらず娘の世話をしない母親は、ある日近所のコンビニで高校時代の元彼と再会し、よりを戻すことに。
家の中でゴロゴロしていた母親は夜遊びに明け暮れ、「育児放棄して男と遊び歩いている」と近所でも有名になっていた。母親は、元彼と会う予定のない日は大抵機嫌が悪く、猫田さんが泣くと怒り出し、おもちゃを投げつけるなどしていた。祖母は猫田さんを守るため、母親の機嫌が悪くなると、猫田さんを抱いて外へ避難することもあった。
離婚から5カ月ほど経った頃、さすがに堪忍袋の緒が切れた祖父は、「自分の子の世話もしないで男と遊んでいるなら出て行きなさい!」と母親を叱る。
すると母親は、あろうことか本当に荷物をまとめ始め、猫田さんを置いて出て行ってしまった。猫田さんはまだ生後10カ月だった。
それから約1カ月後、母親から実家に電話がかかってきた。祖母が出ると、「娘はどうしてる?」と言う。あれから母親は元彼の実家で暮らしており、公衆電話からかけてきていた。
やはり自分が産んだ子が気になるのかと思った祖母は、「見にきてもいいわよ」と優しく声をかける。
母親は、月に1回くらいのペースで猫田さんに会いに実家に来るようになった。だが、来ても祖父母に悪びれる様子も、猫田さんを慈しむ素振りもなく、ただちょっと見て帰っていった。
猫田さんが1歳半になった頃、母親は元彼と再婚。祖父母は「どうせまたすぐに別れるんだから再婚しないほうがいい」と反対したが、聞く耳を持たない。祖母は「3年持てばいいわね」と嫌味を言った。
この頃、保険会社の外交員として働いていた母親は、営業成績のために猫田さんを保険に加入させる。しかし最初の数回分は自分で払ったが、その後は支払いを放棄し、祖父母が負担する羽目に陥っていた。