※本稿は、金澤美冬『おじさんの定年前の準備、定年後のスタート 今こそプロティアン・ライフキャリア実践!』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
「え? 俺んとこは結構よく話すから大丈夫」が一番危険
定年退職後、「今まで会社で頑張ってきたのだから、これからは家族と向き合う」といった声をよく聞きます。しかし、株式会社マイスター60『定年対策実態調査』によれば、既婚女性の86.5%もの人が旦那さんに「定年後も外で働いてほしい」と考えているそうです。
「亭主元気で留守がいい」というのは多くの女性が思うことであり、「旦那さんにはいつまでも健康にイキイキとしていてほしい」という前向きな理由もあれば、「家にずーっといて、朝昼晩と3食作らされるこっちの身にもなってほしい」「料理してくれるのはいいけど台所がグチャグチャでイヤ」「料理の感想を言わされる。私が作っても何も言ってくれないのに」「外出しようとすると『どこ行くんだ?』と聞かれ一日中監視されているようで鬱々としてくる」などの理由(こっちの方が多い?)もあるようです。
ここまでの章では、定年後もイキイキと働くためにはどうしたらいいかということをお伝えしてきました。ここでは、そうは言ってもお家の中にいる時間だってあるのですから家族、特に奥様との関係についてお伝えしたいと思います。
なぜなら、男性は奥様の気持ちに鈍感なことが多いからです。奥様が「不満のサイン」を出していても、「俺のところは大丈夫」と気づかないことが実に多いからです。そして、奥様が長年蓄積した想いを爆発させたり、「熟年離婚」という形になって初めて慌てるということも少なくないようです。
そうならないために、今からできることの具体策の一つとして、「傾聴」についてお伝えしたいと思います。「え? 俺んとこは結構よく話すから大丈夫」という方、要注意です。自分ばっかり話して奥さんの話をちゃんと聴いていない可能性もあります。
40~60代の女性と話をしていると「夫が話を聴いてくれない」という方が非常に多いです。そして、それが不満や不信感につながっていきます。話を聴いてもらうことは誰にとってもすごく大事で、カタルシス効果(話してスッキリ、前に進める)のほかにも、信頼関係醸成や自己肯定感アップなどたくさんの良いことがあります。
でも、男性は話を聴くことがあまり得意でない方が多いので、奥様の不満につながるのだと思います。以下、よくある悪い例を挙げてみました。