記憶力が優れているせいでいじめの記憶を忘れられない
ASDのお子さんの場合、いじめの加害者になることはほぼありません。ほとんどが被害者の立場です。まれに爆発することはありますが、いじめられてもその場で激しく反応することは比較的少ないため、いじめた側はそのお子さんが受けた心の痛みを軽く見ているのかもしれません。
実際には、小学校の頃に受けたいじめの記憶が高校時代、あるいはそれ以降にフラッシュバックしてくるケースも多々見られます。また、映像も非常に鮮明で、細部まで覚えています。
私が診療している成人の患者さんでも、「今でも(自分をいじめた)アイツが許せない。殺してやりたい」などと、現在進行形で小学校時代の恨みを語る人がいます。クラスメイトだけでなく、教師の名前が出てくることもあります。忘れられれば楽になるのでしょうが、すぐれた記憶力を持っているため忘れられないのです。
教師があえておせっかいな介入をすることも必要
では、ASDのお子さんに接する学校関係者は、どのような方針で接すると良いのでしょうか?
コミュニケーションにおいては、ASDのお子さんの「延々」「とことん」の部分に付き合うということが大事だと思います。
たとえば、大好きなことを延々としゃべりたい子がいたとしたら、別の教室にその子を連れて行って、その子が納得するまで誰かが話を聞いてあげることも重要でしょう。忙しい学校現場で、とことん付き合うのは難しいかもしれませんが、思いを発散する体験をすることで、そのお子さんのその後が変わっていく可能性もあると思いますし、信頼関係が強固となります。
また、学校の現場では、ときおり「少しおせっかいな介入」も必要かもしれません。たとえば、1人でいることを好むASDのお子さんがいたとして、その子をそのままの状態で見守るのも1つの選択肢です。
けれども、ときどきは先生方からお節介なことをしてあげてほしいのです。「もしかしたらこのグループとは相性が良いかもしれないな」というグループにあたりをつけ、機会を見つけて「よかったらこの輪に加わらない?」と声をかけてみる。結果として参加しないかもしれませんし、素っ気ない反応をするかもしれませんが、マイナスに作用することはないと思います。