企業が社会のセーフティネットになっていた

【中野】本当ですよね。日本だとプロフェッショナルとして個人で仕事してるわけじゃないから、どこか所属しないとやっていけない。

【デーブ】そうなんですそうなんです。すべての分野がそうじゃないですか。

【中野】何かちょっと「家」感があるんですよ、会社に。血縁関係はないんだけど、ゲマインシャフト的共同体感と言えばいいのかな。あるいは昔の大名家みたいな。伊達家中の者でござると名乗れるとうれしいみたいな。

【デーブ】よく日本の企業は父親的だって言いますよね。つまり慰安旅行したりとか、結婚する時とか身内が亡くなった時にお金くれたりするじゃないですか。

中野信子、デーブ・スペクター『ニッポンの闇』(新潮新書)
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【中野】ご祝儀とかね、お香典とか、お花出してくれたりとか。

【デーブ】そうそう、それと通勤定期くれるとか。会社にどうやって来ようと知ったことじゃないのに。

【中野】企業のそういう部分が社会のセーフティネットみたいに働いてきていたところがあって、そこを基準にしてるからみんな悪さもできないし、そこがコンプライアンス以前の倫理を支えるものになってたところはあると思うんですよね。

【デーブ】もう見事にコンプライアンスですよね。

【中野】そこがだんだんなくなってきた感は確かにあります。

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