※本稿は、『プレジデントFamily2024冬号』の一部を再編集したものです。
AIとは何か?
→一言でいえば“算数(数学)で人間の脳をまねたもの”
脳には神経細胞がたくさんあります。神経細胞はピカッと光って次の神経細胞に情報を伝達しますが、それが次々に行われることで脳は働いているのです。具体的には、目や耳からの情報を認識してモノを判断したり、体に行動の指示をしたりしています(実際は細胞が光を出すわけではなく、電圧の変化を疑似的に「光る」と表現します)。
この神経細胞が“ピカッ”と光っているときを1、光っていないときを0と置き換えて、数字で再現したら脳のようなものが作れるのではないか? と数学者たちが考えたのがAIの始まりです。
AIの起源は17世紀、大航海時代までさかのぼります。当時、船を操縦する際に必要な三角関数や対数などの計算一つ一つを計算係が手計算でやっていました。それを見たライプニッツという数学者が「単純な計算は機械にやらせて、人の優れた頭脳はもっと高度なことに使うべきだ」と言って自動計算器(限りなく原始的だが最初のコンピュータと呼べるもの)を発明したのです。
コンピュータは、狙い通り、人が学習させた大量の情報を処理することができました。その後どんどん学習させることで、人が効率的に処理したいさまざまなことを、指示すればこなせるようになりました。
そうして高度に発達したコンピュータはAIと呼ばれ、その精度はどんどん上がっていき、今に至ります。文章や絵などでアウトプットするChatGPTのような「生成AI」も生まれました。
ChatGPTは何が凄い?
→質問に対し“きれいな言葉”で返答できるところ
実は、今までも似たようなコンセプトの対話ツールは開発されてきたのですが、文法がめちゃくちゃだったり、ただおうむ返ししてくるような返答だったりと精度が低く、限られた用途の利用にとどまっていました。ChatGPTは、あたかも本物の人間とコミュニケーションをとっているかのように複雑な文章を人間と同じように滑らかに出力できるので世界中で話題になったわけです。
少し突っ込んだ話になりますが、人間とAIの成長を振り返ると、それぞれは常に逆の方向に発達しています。どういうことかというと、人間は体を持って生まれてきますよね。そして少しずつ自分の体や他人の体を認識し、周囲とコミュニケーションするうちに、言葉で論理的に話せるようになっていきます。
それに対しAIを動作させるコンピュータは、はじめに0と1ありきで論理的に物を捉えています。ところが、それだと人間にはわかりにくいということで、「プログラミング言語」で人が直接コンピュータに指示が出せるように発達しました。その後、画面とマウスを使って操作できるように。さらにスマートフォンの登場で画面をタップしたり、スマートスピーカーの登場で話しかけたりするだけで操作できるようになりました。
今では、ChatGPTの登場によって、人間と行っているようなスムーズなコミュニケーションがとれるようにまでなりました。このように、人とコミュニケーションできる段階まで発達できたところがChatGPTの凄いところと言えるでしょう(AIの次の段階は、ロボットのように「体」を持って、身体的経験も得ていくことになるでしょうが、長くなるのでここでは割愛します)。怖がらずに、まずは使ってみると良いでしょう。
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