野菜を使いきれずダメにしてしまう事態を回避できるのが、冷凍保存だ。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部(管理栄養士)の赤石定典さんに冷凍すると保存がきくだけでなく、栄養価が高まる食べ物を聞いた――。

※本稿は、『プレジデントFamily2024冬号』の一部を再編集したものです。

ビニール袋に入った冷凍野菜
写真=iStock.com/Tatiana
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あなたの知らないワンランク上の野菜の冷凍保存術

野菜を使いきれず、冷蔵庫の中でしなびさせてしまった――。そんな経験はきっと誰にでもあるでしょう。鮮度が落ちた野菜は味や色がよくないばかりか、栄養価も下がります。ホウレンソウを冷蔵庫に9日間保管すると、ビタミンC含有量がもとの3割に減ってしまうという報告もあります。

そのような変化が起こる理由は野菜が呼吸をしているため。収穫された後も呼吸を続けるたびに蒸発していき、同時にビタミンなどの栄養も消耗してしまうのです。特に葉物野菜は水分が飛びやすいので、買ってから2〜3日のうちに食べきるのが理想です。

とはいえ、毎日の食事づくりの中で、使いきれない野菜はどうしても出てくるもの。食材が高騰している昨今、安い野菜を見つけたらつい多めに買い込み、結局、余らせてしまうことも起こりがちです。

そんな野菜を救う方法が冷凍保存です。凍結させると野菜の呼吸が抑えられ、水分の蒸発を防いで栄養もそのまま。保存期間の目安は約1カ月と長く、野菜のストックには最適なのです。

メリットはそれだけではありません。冷凍すると膨張した水分が細胞壁を壊し、繊維がほぐれてやわらかくなります。調理時間も短縮可能。小松菜やチンゲンサイは硬い茎もやわらかくなるので、常温解凍するだけでおひたしやナムルに使うことができます。ゆでない分、栄養を損ねることもなく、まさしく一石二鳥です。

保存の際のポイントはあらかじめ食べやすく切っておくこと。ジッパー付きのポリ袋に入れて冷凍すれば、そのままスープに入れたり炒め物にしたりと自在に使いこなすことができます。ホウレンソウのようなシュウ酸(エグみ成分)が気になる野菜は、軽く下ゆでしておくとよいでしょう。