「サブスク医療」がまかり通っている

なお、この問題は、若年層の急病やけがなどの「急性期医療」では比較的生じにくい。

しかし、今の日本で行われている医療の大半は、高齢者を対象とした「慢性期医療」なのである。

血圧・糖尿・コレステロールの管理が本当にそこまで必要なのか疑問だが、現状、多くの患者がこれを理由に毎月受診するよう指示されている。

これぞまさに「サブスク医療」である。

そこでは上記の「売りたい放題」の世界観が蔓延まんえんしている。

この世界観が蔓延している以上は、たとえ「診療報酬(1回の受診単価)」を5.5%下げたとしても、医療機関はその分「回数を増やす」ことで簡単に回収できるのである。

(フランス料理を食べる回数を決めるのはフランス料理店、売りたい放題売っていい、が現実なのだから)。

札束を持っている医師
写真=iStock.com/bee32
「サブスク医療」がまかり通っている(※写真はイメージです)

医師でさえ知らない

「まさか、実際にそんなことが起こるわけがない」

と思われるかもしれない。

しかし、それは認識が甘いと言わざるを得ない。

なぜなら、上述のように現在、事実として

「日本人は世界の先進国の数倍の回数、医療を受けている」

からである。しかもそれが欧米の3~5倍という異次元の回数なのだ。

ほとんどの日本人がこのような事実を知らない。

いや、医療を提供している側の医師でさえ、ほとんどこの事実を知らない。

世界から見ると、日本人の外来受診数と入院数は異常なほどに多い。あまりに多すぎて、OECDの統計担当がにわかには信じられず、一時OECDの統計から外されたほどの「異常値」なのである(これは精神科病床数についての実話である)。

これほどまでにガラパゴス化してしまった日本の医療。

しかも日本人のほとんどがそれを認識していないのが現状なのである。