医療の「単価」を抑えても意味はない

自分が医師だから医療業界の肩を持っているのではない。むしろ逆である。

個人的には医療はもっと身を切る改革に挑むべきだと思っている。

そんな私が、なぜ「診療報酬改定にそんなに大きな意味はない」と思うのか。その最大の理由は、「単価をいくら抑えても、受診回数が増えれば医療費は上がってしまう」という現実があるからだ。

日本人はアメリカ人の5倍入院している

あまり知られていないが、「日本は人口あたりの病床数も、病院受診数も世界トップ」である。

日本人は人口あたり、アメリカ人の5倍入院し、3倍外来受診しているのだ。

簡単に言えば、入院でも外来でも、日本人は先進国の数倍、すなわち「世界1の量」の医療を受けている。

果たして日本人はそんなに大量の医療に頼らなければならないほど不健康なのだろうか?

そんなことはあるはずがない。日本人は肥満率も低いし、食事も健康的だ。どちらかというと、欧米人より健康である可能性のほうが高い。平均寿命も世界トップを維持している。それにもかかわらず、日本人は必要回数以上の医療を受けているのが現実なのだ。

なぜこんな事になっているのだろうか?

そこには医療の世界ならではの2つの理由がある。