※本稿は、ひろゆき『ひろゆきさん、そこまで強く出られない自分に負けない話し方を教えてください』(サンマーク出版)の一部を再編集してお届けします。
相手の「判断の軸」をズラす
相手が自分で気づいたかのように話を持っていけると、物事がスムーズに動きます。勝ちにいく必要なんてまったくなくて、いかに「あなたの考えに乗ったほうが得だね」と相手に思わせるかが大事なんですよね。その方法の1つとして、相手が戸惑うような情報を提示してはどうでしょうか。
たとえば、不本意に「転勤しろ」と言われて、「嫌です!」と本音で断るよりも、「うちの妻が嫌がって、仕事をやめろと言われるかもしれません」と伝えたり、「その土地に詳しいBさんのほうが、会社にもメリットが大きいのではないでしょうか」などと提案してみる。
すると上司にしてみたら、「無理に命じて退職されるのと、代わりにBさんに転勤をお願いするのとどちらがいいのか?」といった想定外の選択肢が増えるわけです。要は、話の軸を「Aさんを転勤させるかさせないか」から、「Aさんを転勤させるか、Bさんを転勤させるか」、または「(転勤させて)Aさんがやめるか、(転勤させず)Aさんもやめないか」に、ズラしてしまうわけですね。
大事なのは「得なほうを判断した」と思わせること
● 最初の判断軸
Aさんを転勤させるかorさせないか
↓
● その後の判断軸
Aさんを転勤させるかorBさんを転勤させるか
転勤させてAさんがやめるかor転勤させずAさんもやめないか
話の持っていき方にもよるんですが、「組織のために何がよいのか」という点でも、「AさんよりBさんを行かせたほうが、組織にとってよりいいことだよね」「Aさんがやめるよりやめないほうがありがたいよね」という話に持っていくことはできますよね。その提案がよければ、合理的な上司なら「確かにそっちのほうが得だね」となるはずです。
その時のコツとしては、「自分が転勤するかしないか」よりも、もっと上の目的を天秤にかけてしまいます。たとえば「そのほうが利益が出る」「物事がスムーズに進む」など、部署や会社にとって、もっといい手段・方法として提案すれば十分なんじゃないかなと思います。
大事なのは、その時相手に「自分は合理的に考えて得なほうを判断したな」と思ってもらうこと。「絶対行きたくないです」などと、自分の感情的・主観的な意見をぶつけても意味がありません。