新しいプロジェクトを上司にスマートに提案する方法

さて、実際にどのようにしたらよいのか、具体的にシミュレーションをしてみましょう。

会社で「ChatGPT」に関するプロジェクトを立ち上げたいとします。

まずは上司が何を望んでいるかを知りましょう。最も一般的なのは、「自分たちの部署の利益が上がる」ことですよね。

相手の望みがわかったら、そこから話を始めます。たとえば、「どんなプロジェクトだと利益が上がりますかね?」「3年後ぐらいに流行ってそうなのってなんだと思います?」みたいな世間話をしてみましょう。

そしてこの時、自分がやりたいネタを含めて話していきます。「今なら、ChatGPTあたりですよね」「ソーシャルゲームは、手堅いらしいですよ」「動画サービスが利益を出しているらしいですね」といったふうに。

で、これら3つの中で、自分がやりたいのがChatGPTだとしたら、続けて、

「そういえば、ChatGPTは、まだ日本だと競争相手がそんなにいないですから、今からでもスタートラインに立っておけば、5年ほどでいいポジションをとれるかもしれませんね」とか、「動画サービスだとYouTubeは飽和していますし、今からやっても、よっぽどでないと5年では追いつけなさそうですよね」みたいに話していく。

上司の手柄になっても、それ以上のメリットがある

それでもって「今やるなら何がいいと思います?」と聞けば、おおかた「まぁ、今ならChatGPTだよね」となるんじゃないでしょうか。

後日、「部長、先日、ChatGPTの新規ビジネスがこれから来ると言われてましたよね。あれでヒントを得て、こんな企画を思いついたんですけど、どう思います?」とか、「先日、ChatGPTの話をした際、どうすればうまくいくのか、という話をしたじゃないですか。それで、こういうアプローチだったら、まだないんじゃないかなと思いまして……」と提案してみる。

すると、上司は、「俺が言った案を、具体的にしてくれたのか」「俺と話した案を、どうすればブレイクスルーするか、考えてくれたのか」と、話に乗ってくれる。

こんなふうにして、上司のモチベーションを、ChatGPTのプロジェクトを進める方向に向けていくんですね。

その際、実質的にうまくいく理由や判断材料を持っているのはあなたなので、あなた自身は企画を通すための情報を上司に提供する役回りになります。企画発案者が自分にはならず、上司に取られてしまうことにはなりますが、結果としてやりたいことができるし、活躍の機会が増えます。

また、上司からすれば、あなたは、お膳立てしてくれた部下となるわけですから、その後、いいポジションが得られる可能性が高いでしょう。