まずは雑談で上司の考えを把握する

もちろん、ある程度関係が築けている場合は、多少の説得をすることもできると思います。でも、上司自身がやりたいと思ってくれたほうが、その後もラクなので、なるべくなら説得や議論という形にしないほうがいいんじゃないかと思います。

具体例をビフォーアフターで考えてみましょう。

〈Before:ここがダメ〉
【A】今度社長に提出する事業企画ですが、ChatGPTを使ったものにしたほうがいいのではないでしょうか?
【上司】うーん、今自社で対応が遅れている動画から始めようと思っているんだけど。
【A】でもChatGPTのほうが動画よりも今後伸びると思うんですよ。
【上司】どこにその根拠があるわけ?
(※根拠なく上司の意見を否定すると、その後うまく進みづらい)


〈After:こう変わった!〉
【A】今後5年でどんな事業が注目されると思いますか?
【上司】今なら、動画だろうね。
(※雑談的に始める)
【A】動画もいいですよね。ChatGPTなんかも、今からサービスを手がけるならまだ間に合いそうですね。他社の事例でこんなのがあって……。

意見が対立しても負かそうとしてはいけない

【上司】ChatGPTもありかもな。
(※相手の考えを否定せず、自分の伝えたいことも伝える。事例やデータを添えるとよい)
【A】課長がそうおっしゃるなら、市場の状況や、コストの面など必要なデータを調べてみますね。
【上司】いい事例があったら、今度の社長提案で出してみようかな。ありがとう。
(※上司が自分で決めたかのように持っていこう)

大切なのは、相手を言い負かそうとしないことです。押しつけるのではなく、質問の形にしたり、相手の話に乗っかるように情報を出していきます。

たとえば、上司が「新事業をするとして、具体的に何をやればいいのかな?」と考えている時を見計らって、「最近は、こういうサービスが急速に伸びていて、主要になるサービスが今後○年以内に決まっていく、という話があるみたいですね」「なかでもChatGPTについては、その関連会社で日本国内の投資額が100億円超えたそうです」みたいな形で、あらかじめ持っている情報を出していくのです。

これが、上司に議論で勝とうなどという魂胆こんたんで強硬に主張でもして、へたに言い負かしたら、「もう動画もChatGPTサービスもやらないよ!」なんてキレ方をする人もたくさんいますから。