「地域住民の共通認識になるほどの被害」になっているか
そのうえで、飼い主が当該指導又は助言に従わない場合には、都道府県知事は、糞尿の処理を行うよう勧告することができ(動愛法25条2項)、これにも応じない場合には、措置命令を出すことができます(同条3項)。
さらに飼い主が措置命令にも従わない場合には、50万円以下の罰金刑が科される可能性があります(動愛法46条の2)。
このように地域住民の共通認識となっているほど日常生活に深刻な影響を及ぼしており、かつ指導又は助言、勧告、措置命令に従わない場合にようやく動愛法上の罰則を科されることになります。
したがって、動愛法上の対応をとることを期待することは難しいことが分かります。
行政上、ペットの糞尿トラブルへの対処は難しい
次に、その他の法律に罰則規定はないでしょうか。
ペットの糞尿は、「廃棄物」に該当し(廃棄物処理法2条1項)、これをみだりに捨てた者には5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科され、又はこれが併科される可能性があります(同法16条、25条1項14号)。
さらにペットの糞尿は、「汚物」に当たると考えられており、公共の利益に反してこれを捨てた者には拘留(※)又は科料(※)が科される可能性があります。
※「拘留」とは、1日以上30日未満刑事施設に拘置されること
※「科料」とは、1000円以上1万円未満が徴収されること
しかしながら、いずれについても、ペットの糞尿を捨てることが罰則を科す要件となっているところ、糞尿を放置したに過ぎず、故意で「捨てた」と立証することが難しいため、これらに基づき罰則が科される可能性は低いです。
以上をみるように、行政上、ペットの糞尿トラブルに対処することは難しいことが分かります。