9歳以上なら1回接種でもOK

インフルエンザワクチンは、生後6カ月から接種できます。生後6カ月〜3歳未満は、0.25mlを2回受けます。3歳〜13歳未満は0.5mlを2回受けます。毎年10月頃に1回目の接種をし、約4週間(少なくとも2週間)開け、2回目を接種するのがいいでしょう。13歳以上は大人と同様に0.5mlを1回です。

1シーズンに二度も小児科に出向いて接種するとなると、保護者の方も忙しいでしょうし、なかなかハードルが高いと思うかもしれません。じつはWHO(世界保健機関)とCDC(アメリカの疾病対策予防センター)は、9歳以上なら1回接種が適切だとしています。また、アメリカの予防接種諮問委員会(US-ACIP)も、9歳以上の人は「1回注射」とする旨を示しています(※3、4)。日本でも1回接種と2回接種で効果の差があまり大きくないことから、以前にインフルエンザワクチンを受けたことのある生後6カ月〜9歳未満の子、もしくは9歳以上の子は1回接種でいいという考え方があります。

ちなみにアメリカの研究によると、インフルエンザワクチン1回接種での効果は41%、2回接種では51%という結果があります(※5)。ですから、9歳未満の場合は2回接種したほうがいいのは確かですが、ものすごく大きな差があるというわけではありませんし、1回でも受けないよりはいいでしょう。

病院で予防接種をうける子供
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

※3 厚生労働省「インフルエンザQ&A
※4 朝日新聞「子のインフルワクチン、WHOは1回『2回は日本だけ』
※5 Patterns of Influenza Vaccination and Vaccine Effectiveness Among Young US Children Who Receive Outpatient Care for Acute Respiratory Tract Illness | Vaccination | JAMA Pediatrics

今ワクチンを接種しても遅くない

さて、今はもう12月。これからインフルエンザワクチンを接種するのでは遅いと思う人もいるかもしれません。でも、例年通りでもインフルエンザは2月くらいまで流行しますし、丸2年流行のなかった後の感染状況は読めません。また、新型コロナウイルス感染症の前から、各種感染症の流行時期が変わってきているといわれてきました。現在もプール熱や溶連菌感染症、手足口病などのさまざまな感染症がはやっています。どの感染症がいつ流行するのか読めない時代だからこそ、ワクチンで予防できるものは予防しましょう。

では、すでにインフルエンザにかかった人は、ワクチンは不要でしょうか。じつは国立感染症研究所によると、今年は同じインフルエンザAでも「H1」と「H3」の2種類が検出されているため、2回かかることはあるでしょう。実際、私のクリニックの患者さんにも、春に1回目のインフルエンザAに、秋に2回目のインフルエンザAにかかったお子さんが何人かいます。インフルエンザワクチンには、A型とB型の抗原がそれぞれ2種類ずつ入っています。例年、A型のピークがすぎる頃にB型が増えますから、受けておいて損はないのではないでしょうか。

特に重症化しやすい年齢の小さなお子さんや持病のあるお子さん、どうしても参加したい行事があるお子さん、受験を予定しているお子さんは、やはりインフルエンザワクチンを接種しておいたほうがいいでしょう。インフルエンザの症状はとてもつらいし、出席停止になります。勉強に支障を来したり、受験できなくなったりしたら困りますね。