50代になったら「毎日の業務」で消耗してはいけない

残りの会社人生を定年後の準備期間と割り切るためには、毎日の仕事に対してできるだけ気楽に、しかも新鮮な気持ちで向き合う必要があります。

これは当然のことで、毎日の仕事が重苦しく、うんざりするほど飽きてしまえば、会社に行くだけで苦痛になります。まだまだ現役、しかもベテラン社員としてそれなりの成果や実績を積み重ねなければいけません。前回は「残りの10年は定年後の助走期間」と書きましたが、ふだんの仕事で消耗してしまえば助走もできないことになります。

しかも50代になると、新しいことに取り組む意欲が薄れてきます。何かを習い始めるとか勉強し始めるとか、あるいは旅行に出るようなことも「億劫だな」とまず考えてしまいます。毎日の業務で消耗するようになると、休日や退社後に何か新しいことを始めるなんていよいよ面倒になってくるはずです。

「ちょっとした工夫」で毎日の仕事に変化をつける

そこでまず、50代は定年までの10年を軽やかに乗り切ることを目指しましょう。

そのためには変化をつけることです。どんなに慣れた仕事、慣れたオフィスや仕事場、代わり映えのしない顔ぶれだとしても、ちょっとした工夫で変化が生まれます。

たとえば仕事ならやり方を変えてみる、任せられるものは後輩や新人に任せてみて自分は新規の案件に取り組むといったようなことです。

職場の人間関係も同じで、いつも同じ部署の人間とつき合うのでなく、ふだんやり取りのない部署、たとえば営業でしたら経理や人事の担当者とつき合ってみるようなことです。顔も名前も知っているのに、あまり話したことのない同僚というのは案外多いものです。

通勤や退社後のコースもほぼ固定されているはずですから、これもどんどん変えてみましょう。

横断歩道を渡るビジネスパーソンの集団
写真=iStock.com/Tony Studio
※写真はイメージです

そうやっていろいろ変化をつけてみると、飽き飽きしていた仕事や職場でも「案外、知らないことが多いものだな」と気がつきます。他の部署の同僚と思いがけずも趣味や考え方が似ていたり、美味しいラーメン屋を紹介されたりします。

軽い気分さえ取り戻せば、定年後の20年にも楽しみな計画をあれこれ持ち込むことができるはずです。