引っ越しされない佳子さまへの批判は理解不能
佳子さまが秋篠宮邸改修後も、以前の居室に住み続けておられることを批判する人もいるが、これもいかがなものか。29歳で数年以内に結婚して家から出る可能性が強い娘が、母屋を新しくしたからといって「これまで通りの部屋でいい」、あるいは、「親と一緒だと窮屈だから、玄関が別の離れのほうがいい」と希望されることのどこが批判されるべきことなのか理解不能である。
むしろ愛子さまが新型コロナ期間の3年間、外出もせず、ほとんど両親とだけの接触の中で生活されてきたのと比べても、より健全なことで、反抗的とかわがままだとかいう話ではまったくない。
新しい秋篠宮邸が贅沢だというが、吹上御所、現在の御所、仙洞御所でも完成したときは、贅沢だという批判はつねにあったものの、今回ほど意地悪なものではなかった。
皇后陛下の健康問題もあって、秋篠宮家が皇室外交の極めて大きな部分を分担してきたことは、篠塚隆氏との共著『英国王室と日本人 華麗なるロイヤルファミリーの物語』(小学館)でも紹介してきた。
今後も、秋篠宮邸への海外の賓客の訪問は、天皇皇后両陛下の活動が上皇陛下時代と比べて控えめである以上、平成の時代の東宮御所より多くなるわけで、賓客が歓待されたと思っていただけるには、それなりに質の高いものであることは不可欠だ。
金色を少し増やすかどうかなどは趣味の問題であるが、ウィーンでの生活が長い紀子さまが欧州式の装飾を好まれて、すこしばかり自己主張されて何が悪いのだろうか。
「秋篠宮さまは即位の可能性が低い」は本当か
「秋篠宮殿下は即位の可能性が低いのに……」とか言っている人もいるようだが、皇嗣となられたことを天皇陛下が内外に示される立皇嗣礼は正式に行われている。
皇位継承制度を改正して排除したいと論者が勝手に希望されるのは自由だが、実際に制度改正がされるまでは現行制度を前提にされるべきだし、制度改正をするにしても、現在の皇位継承順位を変更するべきでないと正式な機関で方向付けがされたばかりだ。
もちろん、ベルギー王室でも伯父(ボードワン元国王)から甥(フィリップ現国王)へ皇太弟(アルベール前国王)を飛ばして王位継承する可能性が議論されたこともあったし、日本でもありえないわけでないが、結局実現しなかった。
あくまで、今から20年ほどたった時点での陛下、皇嗣殿下の健康状態や悠仁殿下の家族の状況などを考慮した場合に、そういう可能性もありうるというだけの話にすぎない。
たとえ、秋篠宮皇嗣殿下が即位されない可能性があるとしても、これから少なくとも20年くらいは皇嗣殿下として皇室外交など公務をされることを無視した暴論である。