2023年上半期(1月~6月)にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2023年6月27日)
中高年の食生活は何に気をつければいいか。管理栄養士の森由香子さんは「60代がダイエットに挑むのは危険すぎる。特にたんぱく質不足には注意すべきだ。食べる順番も『野菜ファースト』でお腹を満たすのではなく、『肉・魚ファースト』に切り替えるといい」という――。
※本稿は、森由香子『60歳から食事を変えなさい』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
“年をとったら食べる量を減らす”は大間違い
60歳を過ぎた方に栄養指導をしていると、「メタボなので、まずはやせないとだめですよね」とご自分からおっしゃる方が少なくありません。
確かに肥満はよくありません。内臓脂肪型肥満に加えて高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある人は、バランス良く食べながら減量したほうがよいです。
しかし、60歳を過ぎた方が若いときと同じような感覚で激しいダイエットに挑むのは、健康になるどころか、むしろ危険。体脂肪だけでなく筋肉も減ってしまい、からだが老いていく大きなきっかけになりかねません。
テレビやネット上には、小食や粗食をすすめる情報や、“○○だけダイエット”といった極端な偏食をすすめる情報があふれていますが、管理栄養士の視点からすると、おすすめできないものが非常に多いです。
ほとんどは若くて健康な人を想定しているもので、60歳以上の方が無理に行えば、たとえやせたとしても、栄養不足に陥ったり、病気の引き金になったり、疲れやすくなったりしてしまうでしょう。
それに、“年をとったら食べる量を減らす”という考え方も、根本的に間違いです。
望ましい栄養摂取量は、高齢者も若者もほとんど変わりません。
“年齢が上がるにつれて活動量が低下するし、太っているよりやせているほうがよいだろう”と、食べる回数や量を減らしてしまう人がいますが、年齢とともに栄養を消化吸収する機能が低下してくるため、しっかり食べて栄養補給することは、60歳以上の方が若さと健康を保つために、必要不可欠なのです。