幸せな老後を送るには何が必要か。老年からの生き方本が次々ベストセラーになる医師・和田秀樹さんは「高齢医療の現場では、人生の最後に“後悔”をする人が本当に多い。そうならないために、ぜひいまからマインドリセットをしてほしい」という――。(第5回/全5回)
※本稿は、和田秀樹『幸齢者』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
70歳からは「やりたい放題」でいい
年をとればとるほど、将来に対する不安から「食事や嗜好品、お金などを節制して、老後に備えなければならない」と考えるようになる人が、非常に多いように感じます。
でも、私はその考えには真っ向から反対したいのです。むしろ70歳からは「やりたい放題」に生きたい。
それこそが、若々しさを保ち、頭の回転を鈍らせないための秘訣でもあります。
そもそも、なぜ日本人はこんなに「老後」というものに対し不安を抱くのでしょうか。その一因は、日本人が世界で有数の“不安心理の強い人々”だからです。私は常々、そう感じています。
起きてもいないことを不安がる日本人
「こうなったらどうしよう」「こんなことが起きたらどうしよう」と、起こってもいない未来について、多くの人が強い不安を感じています。
しかし、不安を抱えるばかりで、「実際にそうした事態が起きてしまったときに、いったいどのような対策がとれるのか」という対応にまで考えが及んでいる人は少ないように見受けられます。
大切なのは、実際に起きてしまったときの具体策をきちんと考えておくことです。