日本の首相はコロコロ交代しすぎている
岸田首相の在任期間が、10月で2年に達したのを機に、「もう交替したら」という声が高まっている。だが、日本の首相の任期は、世界各国の大統領や首相、国内の知事や社長たちと比べて異常に短い。
日本は戦後78年間で35人の首相が誕生した。とりわけ、1993年~2012年は20年足らずの間に延べ14人と、目まぐるしく首相が交代した。2012年以降は、第2~4次安倍内閣が約8年間続いたものの、菅義偉首相は約1年で岸田首相にバトンタッチした。
かつて、「首相が短命」といえばイタリアが有名だったが、最近では日本の代名詞となりつつある。このことは特に、外交の世界で日本の信頼性を著しく傷つけている。
本記事では、主要国の制度や首脳と比較し、どうして日本では短いのか原因を探ってみたいと思う。
「並み以上」のアメリカ大統領は2期8年
主要国のリーダーの選ばれ方と任期を見ると、大統領直接選挙を実施しているのが、アメリカ(各州で選挙人を選ぶという変則的な形)、フランス、ロシア、韓国だ。
アメリカは4年任期で、戦後に憲法を改正して連続3選を禁止にした。戦後、選挙で選ばれた大統領のなかでは、アイゼンハワー、レーガン、クリントン、ブッシュ(子)、オバマの5人が2期目を最後まで務めている。再選に失敗したのが、カーター、ブッシュ(父)、トランプの3人だ。
ニクソンは再選されたが、ウォーターゲート事件で失脚し、ケネディは最初の任期の後半に殺害された。副大統領から昇格したなかでは、トルーマン、ジョンソンは再選に成功し、フォードは失敗した。
普通に選ばれて2期目に挑戦した場合だけみれば、6勝3敗なので、並み以上なら2期8年が標準ということになる。
フランスは、ド・ゴールが2期目から直接選挙で選ばれるようになった。当初は任期7年、再選制限なしだったが、現在では任期5年、3選禁止である。第五共和制になってからの8人の大統領のうち、ド・ゴール、ミッテラン、シラク、マクロンが再選、ジスカール・デスタン、サルコジが再選に失敗し、オランドは立候補しなかった(ポンピドゥーは1期目任期途中で死去)。アメリカほどでないが、再選されて計10年務めることが基本だ。