友人関係は放っておいても維持されるものではない
だが、ここで自分の人生における友人という存在について、考えるべきことをいくつか挙げておきたい。
友人関係も、家族関係と同じ原因によって損なわれる。慢性的な対立、倦怠、好奇心の欠如、注意をきちんと向けない、といった問題だ。
まず、友人の言葉に耳を傾ける態度を身につけること。耳を傾けることには、話を聴く側と聴いてもらう側の両方に、同じくらいのメリットがある。耳を傾け、相手の人生経験を真摯に受け止めることで、聴き手と話し手がそれぞれの殻を破り、「開かれて」いき、双方の人生が豊かになる。
誰にでも心に秘めた悩みはあるものだが、それが親しい人との会話を難しくすることがある。だが、努力してみてほしい。例えば、自分や家族の病気については、話題にしたくないものだし、話したくても友人の負担になるかもしれないと思って控えてしまうのが普通だ。だから、相手が病気のことに触れたときには、もっと詳しく聞かせてほしいという姿勢を示そう。するともっと深い友情への扉が開かれるかもしれない。
いつも同じ話ばかりになってしまう相手との付き合い方
話を聴いてもらうことで、相手が自分を理解し、気遣い、見守ってくれているという感覚が得られる。友人に寄り添い、話を聴くだけで、自分自身も相手に見守られ、理解されていると感じるものだが、自分の話を聴いてもらう勇気も必要だ。
また、友人関係においては、話し手と聞き手の役割が固定化してしまうことがある。自分がどちらになりがちかを見極めて、バランスをとろう。双方向の関係が、いちばん強い友情になる。
次に、仲違いした友人との関係について考えてみること。友人との関係の中で傷つき、それが長く尾を引くことがある。だが、いつまでも仲違いし続ける必要はない。「私が悪かった」と素直に謝ったり、仲直りの機会──丁寧なメールを送る、昼食をごちそうすると提案する、誕生日に電話する──をつくったりするだけで、過去の傷を修復できることもある。人は友情よりも傷ついた自分の心を守ろうとすることがある。だが、わだかまりを手放せば、心の重荷から解放される。
最後に、友人付き合いのルーティンを見直すこと。最も頻繁に会う友人との付き合いはパターン化しやすく、いつも同じ話題ばかり話してしまう。だが、その友人からもっと聞き出したいことはないだろうか? 自分から話せることはもっと他にないだろうか? おそらくその友人について、その人の過去について、もっと知りたいことがあるはずだ。あるいは、2人で一緒に新しい活動や体験をしてみてもいいだろう。